第1章 手紙
「彼女、泣いてた?」
私は彼女の泣いた姿を
イメージして悲しくなった。
「いや、あいつも、
分かってたよ。」
そう少し遠くを見つめる彼を
私は目を反らせなかった。
「まー、人生色々ですよー。
私なんか全然、
彼氏さんが
出来た事ないので、
モテる人が羨ましい。
分けて欲しいぐらい。」
私が話しだすと、彼は
私の方を向いて
ジッと見つめ
少し顔つきが変わった。
「ま、だからね。」
そう言って
私の近くに寄って来た。
(何する気?この人)
「な、何?近いよ。」
彼が少し、ふっと笑った。
「俺、傷心なんだよね、
チャンスだと思わない?
お名前様、
飯でも行こうよ。」
耳元で囁かれ、
思わず声にならない声を
あげてしまった。
顔が真っ赤だ。
カカシは
子供が悪戯したように
ニッコリ笑って
私を見ている。
「俺の声が好きなんだって?
自分から弱味を言うなんて、
お名前様、ドMだね。」
恥ずかしくて俯く
私にさらに
ゆっくり囁いた。
(落ちつけ、落ちつけ…
これはからかっているだけだ。)
私は大きく溜息をついて、
自分に言い聞かせた。
「カカシ、
反則技は辞めて下さい。
勘弁してください。」
顔を手で隠しながら
何とか言った。
心臓の音がうるさい。
「ふふっ…お前、
本当に可愛いね。
シャワー浴びておいでよ。
ここで待ってるから。」
「……はい。」
愛しいカカシ様の
お誘いを
断れるわけがない。
ダッシュで家に入って
シャワーを浴びた。
カカシが
待ってくれているのだから
簡単に化粧をした。