第1章 手紙
ドアを開けると、
カカシが嬉しそうに笑って、
私の手を握って歩き出した。
「ほら、行こう。」
キラキラ眩しい彼を
ずっと横から見ていた。
「カカシ、迷惑じゃないの?」
「何が?」
「私の気持ち」
「ん?嬉しかったよ。
別れた理由は、
自分の気持ちに気づいたから、だからね。」
彼は優しく私を見た。
「手紙こそ、反則技だよね。
お名前様。」
そう呟く彼を
穴が空くほど見てると
「あんまり見ないでよ、
恥ずかしいから。」
カカシが、少し
困ったように
言いながら笑うのだ。
「…本当に?」
私は涙目に
なりながら小さく問いかけた。
「まあ、後でゆっくり、
俺の気持ちも聞いてよ。」
彼は
優しく微笑んで
頭を撫でてくれた。
「さ、ご飯行こうよ。
お腹空いたでしょ?」
またゆっくり
手を繋いで
歩き出した
ふたりがそこにいた。