第9章 出逢い
「なんでだよ!知ってんなら教えてくれてもいいじゃねぇか!」
「違うんです!隠してるとかではなく、その…さんに、口止めされてるので…。」
「ちゃんに?」
「はい。」
それからイマリの話を聞いた事を纏めるとこうだった。飛び込んだ後下流へ流され、深い傷を負ってしまったらしい。そこで現れた奴らに助けられそのままを連れ去り…今はそこで身を隠している、と。そして、自身はここへ帰ってくるつもりでいるらしい。
皆の表情が一斉に曇った。生きていることは分かったけれど、やっぱりいい知らせでは無かったな。
「…どこか別の軍の手に落ちた可能性は高いですね。」
「紙を見る限り、それなりにいいものを使っているからね〜…。」
「本人は戻って来るつもりだが…軍が彼女を手放さない可能性も有る。」
「治療してくれてるってのはありがてぇけど、血を見てるって事だろ?の血の力はとっくに神牙中に広まってるし、使われてるかもしんねぇな…。」
各々が言葉を漏らす度部屋には暗い雰囲気が漂う。こんな空気、この豊臣軍には似合わない。俺は深く溜息を吐き出し手を叩いた。すると自然とみんなの視線は俺に集まる。
「まぁまぁまぁ!生きてる事が分かっただけでも御の字だ。後は、を探し出して連れ帰る。たとえ戦になってもね。」
「さんは探さないで欲しいと言ってましたよ…?」
「関係ないよ。俺にとってはただの女の子じゃない。特別な子なんだ。いつまでも知らない軍へ置いておくなんて出来るわけ無いでしょ。」