第9章 出逢い
「まぁまぁまぁ。2人共落ち着いて。まだが織田軍に捕らわれたとも、死んだとも限らない。兎に角、彼女は何よりも優先して探し出す。それと、何としても他の軍にの行方が分からなくなった事実が漏れない様に徹底する事。」
「承知しました。」
「…わかった。けどよ、探すつったって何処を探すんだ?」
「彼女は半兵衛より更に下流へ流されて行ったらしい。」
「官兵衛!半兵衛は?」
「遅くなりました。今手当を終えて自室で休んでいます。恐らくしばらくの間は動くのは厳しいかと…。」
「そうか、ありがとう。三成は引き続き厄魔出現情報の収集を続けて。官兵衛は利家と協力しての捜索を続けて欲しい。」
「承知しました。」
「わかった。すぐにでも探してぇけど、この暗さじゃな…。」
「明日の早朝から始めよう。お前たちまで失うわけにはいかないからね。」
そうして1日は幕を閉じた。それからを探す慌ただしい日々が続いたが彼女の情報は何一つ浮いて来ない。焦燥感だけが募る。せめて、生きている事さえ分かれば良いのにそれすら叶わない。
会いたくて、たまらなかった。彼女の声が、姿がこんなに恋しいと思ってしまうなんて。自分でも考えられなかったけれど。
そんな日が続き、半兵衛も殆ど回復したある日の事だった。
「……秀吉様。」
「何?官兵衛。」
「私の部屋に突然このようなものが…。」
そう言って差し出されたのは茶釜だった。官兵衛がこんなものを持ってるなんて珍しい。何か骨董品…?確かに少し古臭い感じはするけど。
コンコン、と茶釜を叩いてみた。すると、茶釜は突然生き物のように飛び跳ねる。
「うわっ!?」
「何…?」
「は……初めまして、ボクはイマリと言います!」
中から出てきたのは、2つの尻尾を持った白たぬきだった。しかも言葉を話してる。喋る動物なんて、初めて見たな!
俺は好奇心に駆られるがまま狸に合わせてしゃがむ。
「へぇ!初めて見た生き物だ。食べられるかな?」
「…狸に部類されるのか些か疑問ですね。」
「ま……待って下さい!ボクはさんから、この黒髪の人に文を渡すように頼まれてここに来たんです!」
「の居場所を知っているの!?」
「ひぃっ!」