第8章 転機
確かに少し身体がだるい気がするけどご飯食べたし。ただの貧血だろう。そう思い、身支度を済ませ私は二人の待つ門へと向かった。
門では2人が馬を3頭連れて帰って待っていた。これは、初めて馬に1人で乗るチャンス…!
「あなたも随分馬に慣れてきたし、そろそろ外で乗っても問題ないだろう。」
「神社はね、城下から少し離れた山の奥に有るんだよ〜。」
「そうなんだ…。2人とも今日はよろしくお願いします!」
緊張しながら、馬の鐙へ足を掛け飛び乗る。いつも乗せてもらってる馬という事もあって暴れず大人しくしてくれていた。よしよし。
「よし、行こうか〜!」
「うん!」
馬の手網を引き私は半兵衛くんと官兵衛さんに挟まれて目的の神社へと向かう。走った時の馬の揺れは少し激しく驚いたけれど、とりあえず大丈夫そうだ。
「秀吉さんには神社に行くこと言ってあるんですよね?」
「もちろんだよ。勝手にちゃん連れ回したら怒るしね〜。」
「むしろ、秀吉様からのご命令だ。」
「そうだったんだ…。」
暫くして、目的の森へと着いた。少し薄暗く、烏が鳴いている。…こんな場所に本当にあるのかなぁ、神社。私の世界なら多分ここはどちらかと言えば心霊スポットに認定されると思うけど。
馬から降り、木に繋いでから3人で森の奥へと進む。ココ最近森に入ってばっかりだな。
「昨日、利家と逃げてる時長秀さんに遭遇したんだって?大変だったねぇ…。」
「うん、利家は直ぐに突っ走っちゃうし見ててヒヤヒヤするよ…。」
「盗賊の隠れ里にまで殴り込みに行ったらしいな。」
「そうなんです!待ってって言ってるのに聞かずに走ってっちゃって。止める間もありませんでした。」
「本人は良かれと思ってやってるんだけど、ちょっと無鉄砲だもんね〜。まぁ僕は戦うことが得意じゃないから、利家みたいな武将が居るととっても助かるけれど。」
パキパキと小枝を踏み締めながら枝を掻き分け進む。…いつもならこの程度で息を切らすことはないんだけど…今日は少し、キツく感じる。
「…呼吸が荒いが大丈夫か?無理なら私だけで向かおう。」
「ここまで来て引き返したりなんてしません…!ちょっと足元が悪くて歩きにくいだけなので、だいじょ……わっ!」