第7章 突撃
っ〜〜話はぐらかして…!!こうなったら、刀で自分の腕を切る…?そうすれば、嫌でも食らいつくんじゃ…?
「おい、何してんだ!辞めろって!」
「血を見れば飲みたくなるでしょ!?」
「オレの話聞いてただろ!それに、お前の匂いは下手すれば長秀にもバレる。」
「う…。」
そうか、あの人も吸血鬼なんだ。私は渋々刀を鞘に収める。じゃあ、一体どうすれば…。
「…長秀さんって、利家と顔見知りなの?」
「それは……まぁ、隠すことでもねぇし、いいか。オレも秀吉も、元々信長ん所に居たんだよ。だから、まぁ…織田軍にも顔見知りが多くてな。」
「そうだったんだ…。豊臣は織田から独立したの?なんで…?」
「理由はなぁ…色々と有るんだが、1番は…」
「なんだ、鬼ごっこの次は隠れんぼか?利家。」
すっと木の陰から現れた長秀さんに利家は直ぐに立ち上がり槍を構える。
「長秀…!!」
「囲め、今度は取り逃がすな。」
「はっ!」
冷淡な声と共に辺りが織田軍の兵に囲まれる。逃げ場は…無さそうだ。
「…ずいぶんいい鼻してんじゃねえか。」
「ふん、お前の隠れ方が下手なだけだ、この死に損ないが。」
「はっ、死に損ないかどうか試してみるか?」
「戦うの!?そんな傷で…!」
「お前は下がってろ。絶対前に出るんじゃねえ。刀もしまっとけ。わかったな。」
「どうした?やるなら早く来いよ!」
「行くぜぇっ…!!」
「うおらあああっ!!」
「ぐっ…!!」
利家と長秀さんの刀と槍がぶつかり合う金属音がけたたましく響く。このままじゃ本当に利家が死ぬ…!!
どうしよう、私もやっぱり…!
思考を巡らせている矢先、背後で足音が響く。すぐ様反射的に刀を抜くと、すぐそこまで織田軍の兵達が迫って来ていた。…どうやら長秀さんの指示らしい。ちらりと視線を背後に配せれば、彼が顎で軽くしゃくる姿が見え、それを合図に兵達は一斉に飛び掛って来る。
「っ…は!」
ひとりひとりの動きを見て、太刀を避ける。大丈夫、秀吉さんに鍛錬付き合って貰っていたから…!
それでも血を見るのはどうしても嫌で、刀を返しあくまで峰で兵の首や脇腹を叩いた。相手の動きを見ている限り、どうやら私を殺そうとしているのではなく、捕まえようとしているっぽい。
「いけ!」
「うわっ!離して…!!」
「!」