第7章 突撃
「大丈夫、大丈夫!まぁ、お前はここで足休めとけよ。その間に済ませてくっから。刀は自分で持っとけ。」
「あっ、と…利家!」
「おらああああ!!オレが前田利家だ!死にたいやつは、掛かって来やがれぇっ!!」
私も行く、という前に利家は身を低くし静かに素早く村に向かうとそのまま殴り込みに行ってしまった。これが筋肉バカってやつか…。利家の事だから大丈夫だとは思うけど、村というだけあって人数も凄そうだし心配になる。後そんな大声出されると折角まいた織田軍にバレちゃうって…。
それから暫くして静かになった所、利家は戻って来た。随分生傷が増えてしまっている。
「盗賊は追っ払ったぜ。さっさと行くか。」
「もう…傷増えてるじゃん。無茶し過ぎだよ。」
「こんなのどうって事ねぇって。」
村にある適当な小屋へ入り、すぐさま手当を行った。幸い簡単な救急箱が有り治療には困らず腕や足に残る傷に包帯を巻いていく。
「いててっ…もうちょっと優しくしてくれよ。」
「ひとりで行くからこんな怪我ばっかりするんだよ。元々沢山傷があるのに…利家が強いのは知ってるけど、もう少し自分の身体大事にして。直ぐ突っ込んで行っちゃうから心配になる。」
「………。」
「…何?なんで口開けてるの?」
突然無言になるから、何事かと手当していた足から顔を上げれば彼はぽかんと口を開いたまま固まっていた。そんな変な事言った?
「い、や……戦で傷出来るの当たり前だし、誰かに心配される事ねぇんだよ。」
「私は豊臣軍に来てまだ日は浅いしこんな事言うのはおこがましいかもしれないけど、利家の事大事な仲間だと思ってるよ。だから死んで欲しくないし、無理な事はして欲しくない。守ってくれるのは嬉しいけど…無茶するのは辞めて。」
そう言って片手を掴むと呆気に取られていた利家の顔はみるみる赤く染まる。どうやら、照れているらしい。片手で顔を覆い隠してしまった。男前なのにそういう所はピュアで可愛いと思う。ギャップというか。
「…優しいよな、お前。」
「そんな事ないよ。はい、治療おしまい!そんなに血は出てなかったから大丈夫だと思うけど…必要だったら血を飲んで良いからね。」
「あのなぁ…そうホイホイ飲ませるもんじゃねえぞ?」