第5章 計画
「三成さん!」
「なんですか……あなた、顔真っ赤になっていますよ。」
「そんな事ないですよ〜。それより今回の計画、お疲れ様でした!お酌させて下さい!」
「構いませんが…零さないで下さいね。」
三成さんの隣へ座り、持っていた徳利からお酌する。確かにちょっと意識はポーっとしてるけど、本当にちょっとだから大丈夫。の筈。
「三成さん、今度私に神牙の文字教えて欲しいな〜。」
「私にですか?私より半兵衛の方が向いているでしょう。」
「半兵衛くん?…でも三成さんがいい。」
「な…っ、いや……秀吉様の許可なく教える事は…。」
「秀吉さんがいいって言ったら、教えてくれますか?」
「許可を得られれば、教えて差し上げます。けれど私は厳しいですよ。」
「いいの、三成さんともっと仲良くしたいから。」
「……あなた、酔っ払っていますね…?」
「そうかも。すっごい気分いいです!」
お酒の入った徳利を置き、三成さんにもたれ掛かる。身体がぽかぽかして、騒音がいい具合に耳に心地よくてよく寝れそう。
「寝るならここではなく自室で寝て下さい…!」
「えー、みんなここに居るのに寂しいじゃないですか〜。」
「あなたは、少しくらい自分が女性であるということを意識したらどうですか…。」
ため息混じりの声が聞こえてくる。確かにあんまり意識した事無かったかも。皆私を食用というか、血があるから大事にしてくれていると思っているし。
「!こっちおいで。」
「あ、うん。」
徐に秀吉さんに手招きで呼ばれ、三成さんから離れて今度は彼の隣に座る。…が、秀吉さんはそうではないとばかりに胡座をかいた自分の膝をぽんぽんと叩いた。
「何…?」
「膝に座って。」
「総大将の膝に座るのはちょっと…。」
「えー?仕方ないなぁ。じゃあこれで我慢するよ。」
そう言って秀吉さんに肩を抱かれやや強引にもたれ掛かる形になる。触れる箇所が少しだけ暖かい。顔を上げれば、綺麗な桃色がかった瞳と目が合う。
「三成の、賊の討伐に協力してくれたんだって?」
「ん…うん、血を飲んで貰っただけだけどね。」
「妬けるな〜。あんたの血を俺以外の誰かが飲んだって言うのは。」
つー…っと指先が首筋を撫でる。擽ったさに肩が跳ね、すぐに手首を掴んで静止させたが秀吉さんの表情は少しだけ不服そうだった。