第5章 計画

日数も経ち、計画は無事遂行され盗賊達の拠点は濁流に呑まれ沈んでいった。こちらの被害も少なく、盗賊も一人残らず一網打尽になり抱えていた1つの問題を消化する事でやっと、お城の中も落ち着きを取り戻していたのであった。
そして今日は、作戦を無事に終えた事による宴が大広間では繰り広げられている。勿論、重鎮だけでなく臣下達皆が労われ、どんちゃん騒ぎだ。

｢なんだよ、お前全然飲んでねーじゃん！｣

｢うわっ、利家！お酒臭い！！｣

｢いいだろ？折角の宴なんだからも飲もうぜ！｣

｢私はいいよ、みんなで飲んで。｣

ずいっ、と差し出された盃をそっと押し返す。カクテルとか甘いお酒は飲めるけど強いはちょっと…。
そんなわけでお酒を飲むのは控えお酌する方にひたすら回る。

｢ちゃ〜ん！｣

｢半兵衛くん…も酔ってる？｣

｢ちょっとだけね！ちゃんはお酒苦手なの〜？｣

｢あんまり得意ではないかな。みんなお酒好きだよね。｣

｢日持ちもするし、美味しいからね！利家は直ぐに酔っ払っちゃうけど。｣

｢んなことねぇよ！｣

｢嘘ばっかり〜。｣

確かに利家は完全に酔っ払ってるな。あんまり近付かないでおこう。そう思って立ち上がり、利家を半兵衛くんに任せて官兵衛さんの元へ向かう。

｢隣いいですか？お酌します！｣

｢あぁ、頼む。｣

空になった盃へ徳利を傾けお酒を注ぐ。注いだお酒を官兵衛さんは口に流した。官兵衛さんはお酒、強そうだ。

｢官兵衛さんはあまり酔ったりしないんですか？｣

｢ん？そうだな…利家程酔いやすくはないはずだ。あなたは苦手らしいな。｣

｢はい、甘いお酒は好きなんですけど清酒は辛くって。｣

｢これはどうだ。｣

渡された徳利に鼻を寄せる。ほんのりと梅の香りがした。

｢…あっ、梅酒ですか？｣

｢正解だ。飲んでみるか？｣

｢じゃあ…1杯だけ。｣

空いた盃に官兵衛さんがお酒を注いでくれる。恐る恐る口に付け流し込むと優しい梅の風味が広がった。ちょっと強いけど、美味しい。

｢美味しいです！｣

｢それは良かった。気に入ったのなら、好きなだけ飲むといい。｣

｢はい、ありがとうございます。｣

盃に残った残りの梅酒も飲み干し、少しだけ官兵衛さんと話してから今度は三成さんの元へ向かった。少しずつだけど、三成さんもお酒を飲んでるみたい。