第5章 計画
「秀吉様のご命令ですから、このぐらいは当然です。」
「三成さんって、秀吉さんや利家が言っていた通りの人ですね…。」
「はい?」
「秀吉さんは三成さんの事を優秀な参謀だって言っていたんです。利家も一緒に城下に行った時、三成さんはすごい人だって。」
「そ、そうですか…!秀吉様が、私のことをそのように…!」
嬉しそうに表情を和らげる三成さん。顔に出る程うれしいことなのだろう。
「私も秀吉さん達と同じように思いますよ、とっても凄くて、優しい人だと。正直、城下町で助けを求められた時、計画書の作成があるって断ると思ってました。けれどその問題もすぐに解決して、その上秀吉さんの無茶な計画も実現出来るようにするなんて。さっきも、私に着物を掛けてくれたり。色々な困難があったのに、言い方が失礼かもしれないですけど…凄く頑張ってたというか…本当にお疲れ様でした。」
「いえ、秀吉様の為ですし。それに…あなたに労って頂けたなら頑張った甲斐もーー…ではなく!まったく、まともに手伝いも出来ないくせに、何を偉そうなことを言ってるんですか!それに、あれです!あそこで農民を助けたのは、豊臣軍にいい印象を与えることが出来ると考えたからで…それで、更に農耕に励んでもらうという所まで計算に含まれていると言いますか…と、とにかく!頑張った、だなんて私より仕事がこなせる様になってから言ってください!」
羞恥からか、三成さんは頬を僅かに朱に染め捲し立てるように早口で言葉を並べるとそっぽを向いてしまった。その姿が少し子供っぽくて、可愛らしさにクスクスと笑う。
「ふふ、そうだね。そうなれるように、頑張ります!」
「何を笑っているんですか。それと…まぁ、その…あなたに労ってもらって、嫌な気分はしませんでした。とだけ言っておきます。」
「三成さん…!!」
少しは私の事を受け入れてくれた、って考えても良いのかな。そういう事にしておこう。
それから三成さんと一緒に秀吉さんに計画書の提出をしに行った。内容は本当に完璧なもので1つの綻びも、穴もなく直ぐに準備に取り掛かり始める。流石に暫く忙しくなってしまいそうで、乗馬や刀の鍛錬をしている暇はなかったけれど、その分私も計画の為に協力出来ることも有り、充実…というか、いっそ目が回る程の忙しい日々が続いた。