第4章 日常
「わっ、半兵衛くん!そんな急がなくても!」
「こら、待て半兵衛!!」
「全く…賑やかだな。」
手を取り走り出す半兵衛くんに引っ張られ、秀吉さんから逃げるように大広間へ向かう。…目が回るような忙しさだ。官兵衛さんの言う通り本当に賑やか。
大広間に到着すると三成さんと利家さんが既に集まってて、朝餉の準備までしっかり整っていた。
「おはようございます、随分庭では騒がしかったみたいですね。」
「馬の乗り方官兵衛に教わってたんだって?オレも明日は見に行くぜー!」
「おはようございます!官兵衛さん、凄く教えるのが上手で分かりやすかったんですよー。」
「……。」
「あ、官兵衛照れてる〜?」
「照れていない。」
半兵衛くんの言葉を受けて官兵衛さんをちらりと見ると確かに顔が少し赤かった。が、直ぐに逸らされる。ちょっと可愛いなんて思ってしまった。
「ほらほら、は俺の隣ね。半兵衛と官兵衛も座って!」
秀吉さんに促され隣に座りそれぞれ朝餉の所に座る。美味しそうなお味噌汁や、煮物、お魚だ。ちょっと多いけれど…残すわけにもいかないな。
「いただきます。」
「いっただきまーす!」
各々食事の挨拶と共に箸を取る。私も煮物を摘み口に運んだ。出来たてなのか、ほくほくで味もしっかり染みていて美味しい。
「この後俺と稽古だけど…本当にやるの?」
「やります!…じゃない、やるよ!武将だけじゃなくてあんな化物が居るなら余計自分を守れるようにならないと…。」
「厄魔の事か?あいつら倒してもキリがねぇんだよなー。」
「数匹程度ならまだしも大量に湧くことも有りますからね。」
「1匹の時は倒せたんですけどねー…。」
「「「え?」」」
「えっ。」
ばっ、と一斉に視線を向けられ思わず箸が止まり摘んでいた芋の煮っころがしをポロリと器に落とす。そんなに変なこと言った…?
「ちゃん、厄魔と戦ったの!?」
「う、うん…。秀吉さん達が来る前に1匹襲って来て…。」
「そういえば駆けつけたとき刀持ってたね…。あれは何処で?」
「落ちてたから拾ったの。戦で誰か落としたのかなーと思って。」