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夢現【戦刻ナイトブラッド】

第4章 日常



「まずこれを鐙と言う。足をかける場所だ。乗る前にしっかり高さ調節をしておけ。この腹に掛かっているのが腹帯だ。乗る前にずれない程度に締めておく。」

「はい!」

官兵衛さんの指示を受けながら鐙と腹帯の調整を行う。馬はとても訓練されているためか大人しくしていてくれた。半兵衛くんと秀吉さんは縁側に座ってのんびり見ている。

「そう、そしたら馬の左側に立ち顔へ背を向け手網を短く持って鬣と一緒に左手に持つ。握ったら左足を鐙に掛けて思い切り跨ぎ乗れ。」

「緊張する…!」

「大丈夫だ、落ちそうになったら私が支える。」

官兵衛さんはそう言うと私のすぐ横に立ってくれた。いや、でもここは1発で決めたい。女は度胸だ!
地に着いていた右足を思いっきり蹴り大きな馬の背を跨ぎ飛び乗る。鞍へ腰を落としすぐに右足を鐙へ乗せたてがみから手を離す。

「乗れました!官兵衛さん!」

「ふっ…筋は悪くないな。後は歩かせ方と止め方だ。」

それから後に乗った官兵衛さんの指導を受け、ゆっくり歩かせ乗っている時の姿勢と何かあった時急に動きを止めるためのやり方を教わった。流石に庭の中で走り回ることは出来ないから走るのはまた次の機会ということになり、降り方だけ習い馬術の訓練を終える。

「ありがとうー。また明日も宜しくね。」

乗せてくれた馬の首辺りを軽く撫でる。毛は硬いけれどツヤツヤでしっかり手入れされているのが良くわかった。

「明日は1人で乗り降りと軽く歩かせて貰う。上手くいけば明後日走らせてみよう。」

「はい!お忙しい中ありがとうございます!」

「いや、良い気分転換になった。」

時間割いて貰ってるし、何かお礼が出来たらいいな。考えておこう。
縁側から見ていた半兵衛くんが立ち上がり少しだけ駆け足でこちらへ向かってくる。そのあとをゆっくりと秀吉さんが追ってきた。

「官兵衛もちゃんもお疲れ様〜。この調子なら直ぐに乗りこなせそうだね!」

「乗れるようになったからって、勝手にまた消えないでよ?」

「消えないよ、約束したでしょ?」

「まぁね!それにどこに逃げてもまた見つけて捕まえるから。」

「秀吉さん執念深い…。」

「ちょっと怖いよねぇ…。」

「半兵衛までそんな顔しなくてもいいでしょ!ほら、それよりそろそろ飯の時間だよー!」

「そうだね、ちゃん、行こう!」
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