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夢現【戦刻ナイトブラッド】

第3章 厄魔


「大丈夫だって、秀吉はお前が嫌がる事は絶対しねぇ!」

「そうだよ〜。信頼出来ない人に僕たちもついて行かない。だから…ね?」

「う、それは…そうですね。」

秀吉さんの作る未来が平和なものである、そう信じているからこそ命を投げ出し一緒に戦ってるんだもんな…。そう考えるとこれ以上信頼出来ることは無いのかもしれない。私はこの人を警戒し過ぎなのだろうか…。そう思ってちらりと秀吉さんに瞳を向けると、彼は柔らかく笑った。

「それで、どう?俺のお嫁さんになる覚悟は決まった?」

「その話はもう断りました!!」

「え〜、なんで〜?」

「なんでって……そもそもなんでお嫁さんなんですか…。」

「一目惚れ。」

言われたこともない言葉に思わず呆気にとられる。しかし彼の眼は真剣そのものだった。言葉の意味を理解すると同時にじりじりと頬に熱が集中するのを自覚し思わず顔をうつ向けた。そんな口説かれ方をしたのは、初めてで何と返していいかわからない。

「ふふ、顔真っ赤だね〜。可愛い。」

「…見ないで下さい。」

覗き込んで来る半兵衛さんの顔を掌で軽く押し返す。落ち着け、この人はただ私の血に利用価値が有るからそう言ってるだけかもしれない。

「あんたのこと、気に入ったんだよね。直感的に。で、どうすんの?俺の軍は基本的に、働かざる者食うべからず、だよ。」

「だから、それなら私にも馬の乗り方を教えて下さい、稽古つけて貰う許可も下さいって再三言っているじゃないですか!」

「え〜?俺が乗せてあげるから必要無いでしょ?稽古は絶対駄目。」

何故こう頑なに許可してくれないんだ。ここで住むためには嫁一択!みたいな選択権のない選択肢に心がムッとする。

「お嫁さんになれば衣食住困らないし、贅沢出来るんだよ?なんでそんなに戦うことに拘るの?あんなに震えていたのに。」

「私は小さい頃からずっと稽古を付けて貰ってきました。目標にしている人も居ます。だから日々の鍛錬も欠かしたく無いし出来ることなら武将の皆さんの力を吸収したくて。」

「えっ、女の子なのに刀の訓練してきたの?珍しいね〜。」

「なるほどなぁ、その気持ちはすげぇ分かるぜ!ぶっ倒したい奴が居るとそいつとやり合う為に鍛えておきたいよな!」

「そーれーでーも!あんたに刀は持たせない。」
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