第12章 決議
そんな時、とても幼い声が突然室内に響いた。
「あの、皆さん!ボクの話を聞いて下さい!」
「ん?誰だ?今、誰か喋ったか?」
「自分のことを僕って言うのは、鎌ノ助位だよな。」
「えぇ〜…僕じゃないよ。」
「はい、ボクです!ボクが喋りました!」
ぴょんと跳ねながら片手を上げて主張していたのは…いつの間に、どこから入ってきたのか私の隣に現れた茶釜、もといイマリだった。と人前に出てきて良いの!?
「……なっ!?こ、こいつは……」
「た、たぬき!?」
「しかも……」
「喋っている…?」
どういうこと!?しかも厄魔が現れた事について何か知っているの…?
いろんな意味で驚きの色を滲ませた視線がイマリに一気に集中する。
「初めまして、真田軍の皆さん。先程みなさんが話していた、厄魔が増加している、ということについて、ボクからお話があります。」
「いやいやいや!お話があります。じゃねーだろ!お前…たぬきだよな?なんで、たぬきが喋ってんだよ!?」
「もしや、妖怪の類か?」
「ふーん、本当に妖怪っているんだ。」
「ち、違いますよ!ボクは、妖怪なんかじゃありません!実はボク、姫神子様の従者のようなものです。」
「姫神子様の従者…?君が?」
「姫神子様の伝説なら、小さい頃によく聞かされたけどよ……。たぬきが従者なんて話は知らねぇぞ?」
「ほ、本当ですってば!」
顔を赤くして必死に弁解するイマリ。けれど皆はあまり信じてはいない様子だった。
「ねぇ、イマリ。出てきて良かったの?幸村くん達に会うの、避けてたんじゃ……。」
「……?君は、このたぬきと知り合いなのか?」
「あ、うん…。この世界に来てから、色々な事を教えてもらったの。」
「そうです!そしてボクは、これまで、彼女のそばで真田軍の皆さんを見てきました。最初は、武将は危険で怖い人たちだと思ってました。でも彼女を必死に守る姿や温かく迎え入れる姿を見て、今は、すごくいい人達なんだなって確信したんです。だから、ボクが知っていることをちゃんと伝えたいと思うんです。」
イマリの言っていた事は、厄魔が増えた事はやはり姫神子様がいなくなった事が原因になっている可能性が高いという事だった。そもそも姫神子様が居なくなってから出現するようになったらしい。そもそもなんで姫神子様はいなくなってしまったんだろう…。