第12章 決議
「………ねぇ、姫神子様を見つけたらは帰っちゃうの?」
鎌ノ助くんの澄んだ瞳が私を捉えた。その一言で一気に大広間は静まり返り視線は私に集まる。
「……そうだよ。姫神子様を見つけて、元の世界に帰る方法を聞きたいの。だから私は姫神子様を探してる。」
「そう、なのか……。」
幸村くんは顔を俯いた。秀吉さん達に話した時も寂しそうにしてくれたっけ。私も、寂しいと感じたな。その時も、今も。
「なっ、なぁ!残りたいとは思わないのか?」
「そうだね…思った事は何度も有るよ。皆が大切になっていけばいく程、お別れが寂しくなる。2度と会えないかもしれないから…。」
「……なら、残ればいいじゃん。」
「私にも家族が居るんだよ。鎌ノ助くん達は家族みたいに仲良いでしょ?私にも、そんな人たちが居るの。それに残れるかどうか私にも分からない。」
優しく言ったつもりだったけれど、納得はしてくれなかったのか鎌ノ助くんは少しだけ不機嫌そうに顔を背けた。佐助くん達もどこかどんよりとしていて、なんとも言い難い空気が立ち込める。
「…分かった。は俺たちが家族みたいだった言ってくれたけど、キミももう立派な俺たちの仲間だよ。」
「幸村くん?」
「家族が困ってたら助ける。だから俺はの気持ちを尊重するよ。一緒に姫神子様を探そう!」
「そうだな…寂しい気持ちは有るが、幸村の言う通り困っているのなら見過ごす事は出来ない。」
幸村くんは笑顔を浮かべてそう言ってくれた。本当に優しい人だ。きっとこんなに優しい人にはこの先出会うこともないだろうって位。
「ありがとう!!」
それから話は変わり昨日の厄魔の事について会議が始まった。どうやらココ最近、厄魔の数が増えているらしい。しかもその原因は分からず、むしろ昔は居なかったようだ。
昔は居なくて、最近増えた……。もしかして、姫神子様がいなくなった事が何か原因になっているのだろうか。それとも…あまり考えたくないけれど、私がこの世界に来たから…?
最終的に出た提案は、厄魔の巣を探して潰す、というものだった。けれどそんな場所検討もつかないし、つけようがない。それほどまでに厄魔の情報というものは少ないのだ。案としては良くても実行に移すまでが現実的では無かった。中々良い解決策が生まれず、再び重い沈黙が走る。