第12章 決議
「こら、ボーッとしていただろう?も、3人をしっかり見張っておいてくれ。」
「うっ…ごめん。」
どうやら、信之にでこぴんされたらしい。私は額を軽く摩ってから頭を下げた。
それから信之は持ち場に戻ってしまい再び忍び3人と作業を始めるところだったが…明らかに少しむくれた佐助くんが才蔵くんを睨む。
「…ったく、お前のせいで怒られただろー。」
「その言葉、そっくりそのまま返してやろう。」
「もう……面倒だから、はやく散らかったやつ片付けなよー。」
鎌ノ助くんのひと声でしぶしぶ、といった様子で作業に戻る。私も一緒に手伝おうと思ったけれど、ふと目にした佐助くんの手の甲から血が出ているのに気が付いた。
「佐助くん、その手どうしたの?」
「ん?……って、うわ!?血が出てる!!」
「あー、さっき術を使った時に切ったんじゃない?あの竜巻、色んなもの巻き上げてたし。」
「うわー、しまったなぁ。やっぱあの術、もうちょっと改良しないと……」
「ちょっと手、貸して。」
返事を聞く前に佐助くんの血が滲んでいる手を取る。傷は深くないし大丈夫だとは思うけど、念の為。
私はこの世界に来た際持ち歩いていたハンカチを帯から取り出し血の出ている場所を塞ぐように巻き付けた。
「まだ作業は終わらないし、ばい菌入ったら困るから…とりあえずハンカチで止血するね。」
「うわっ!?あ、そのっ……わ、わざわざありがとうな。オレすっげー嬉し…あっ、いやっ。これは別に、変な意味じゃなくてだな……!」
「ちょっとキツめに縛るよ……はい、これで止血完了。後でちゃんと手当してもらって!それにしても、佐助くんもやっぱり手、大きいね。」
「………。」
「男の子らしくて……あれ、佐助くん?おーい。」
急にボーッとしてしまったので、持っていた手を離し彼の目の前でひらひらと振ってみる。
すると少し間を空けて気の緩んだ笑みを浮かべて傷のある手の甲を摩った。ちょっときつく縛りすぎた…?痛かったのかな。
「えへ、えへへっ……大丈夫、大丈夫。この、は、はんかち?ちゃんと洗って返すからな〜。」
「フッ…この程度で浮かれるとは、哀れだな。」
「……。いたた〜、なんか僕、頭痛いかも…。」
「なっ!?」