第11章 籠城戦
途端に幸村くんの身体が眩い光を放った。そしてそれが収まる頃には彼の綺麗な茶髪は黄色がかった緑へと変わり尻尾や耳も同様に色づいている。
「す、すげぇ……。」
「美しい…なんて、美しいんだ!」
「これが噂の、覚醒なんだ…。」
初めて覚醒を見た佐助くん達も驚きと感嘆の声を上げた。幸村くん自身も自分の変化に戸惑いの色を浮かべたがそれも直ぐに変わる。
「凄い…体の隅々まで、力がみなぎってくる…これなら!」
「幸村くん…良かった…!」
「行くぞっ!はあああああっ!!」
「うおっ!?槍の風圧がここまで来たぞ!」
ブンッ、と思い切り横に振られた槍は厄魔をいとも容易く切り裂いた。その風圧で少し離れていた佐助くんの髪が揺れる。
「フッ、では、俺たちも反撃開始だな。」
「うん…これならすぐ終わりそうだし…もう少しだけ頑張ってみようかな。」
「みんな!この力は長くは続かない!一気に畳み掛けるぞ!!」
「「「わかった!」」」
3人に鼓舞した幸村くんが厄魔に立ち向かう直前に振り向いた。そして自信に満ち溢れた顔で笑う。
「ありがとう。君が来てくれたお陰で俺たちは厄魔に勝てるだろう。そこで見ていてくれ!」
「頑張って!!」
「あぁ!さぁ、反撃開始だ!!」
飛び出して行った4人。私はその姿を後ろから見ていることしか出来ない。けれど、この血のお陰で窮地を逸する事は出来たかな。幸村を中心に厄魔が一掃されていく。ふと、少数の兵と城を守っている信之が気になり戻ったが取り零した厄魔自体が少なくなったお陰かこちらも特に負傷者も居ないようだった。
「信之、大丈夫?」
「!どこにいたんだ!?」
「幸村くんの所に行って血を使って貰ってきたの。」