第11章 籠城戦
一瞬で、ここまで考えたの…!?三成さんも凄かったけれど、やっぱり戦国武将は頭のキレと回転の速さが全然違う。凄いの一言にすぎる。
「…なるほど。確かに、その作戦ならば希望が見えますね。」
「うおぉっしゃ!燃えてきたっ!これで、真田領のみんなを救えますね!」
「おまえ達には堰の破壊や、進路を塞ぐ役目を頼みたいのだが、大丈夫か?」
「山はオレの庭ですからね。任せて下さいよ!」
「ならば、俺は崖を崩しにいきます。俺が調合した新たな火薬ならば、崖を崩すくらい造作もないはず。」
「じゃあ僕は…木を倒す係?…まぁ、お城の近くだし、いいか。」
「そんじゃあ、さっそく出発だ!オレ達で、真田領のみんなを救うぞ!」
「まて、何故お前が仕切る!?ここは、俺の号令を待つべき場面だろう!」
「どっちでもいいよ…。早く、行こう。」
そう言って、3人は行ってしまった。相変わらず仲が良いのか悪いんだか。
「では俺は、幸村の援護に行ってくる。」
「え、信之一人で行くの…?」
「あぁ、兵士たちは厄魔を迎え撃つ時まで温存しておきたいんだ。」
「私も一緒に行くよ!」
「この先は危険だ。君はこの城で待っていてくれ。すぐに戻るから。」
そう言って、あやす様に頭を撫でられた。自分が行っても力じゃなんの役にも立たない事は分かってる。だからこそもどかしくて、悔しかった。私にも、戦うための力があれば…。
「…絶対、帰って来てね。」
「あぁ、約束しよう。それじゃあ、行ってくる。」
どうか大きなケガだけはしませんように。皆無事に帰ってきますように。そんな祈りを捧げながら信之を見送った。
それからしばらくして、みんなは戻ってきた。作戦は順調で、厄魔は予定通り町屋村を迂回して進んでいるらしい。全員怪我もなくピンピンしている。良かった…!
「バッチリやってきたぜ!あとは…この城で、厄魔の大群を迎え撃つだけか。」
「しかし、ここまでは準備段階に過ぎない。正念場はこれからだ。幸村。城のみんなに号令を掛けろ。みんなの気持ちを、しっかり引き締めるんだ。」
「ああ。でもその前に、ひとつ謝らせて欲しい。……みんな、迷惑かけてごめん。ひとりで群れに突っ込んで行ったりして。」
「なーに言ってんだよ、幸村!お前が突っ込んでいくのは、いつもの事だろ?」