第11章 籠城戦
「フッ、ならばこの霧隠才蔵、厄魔の10匹や20匹、あっという間に片付けてみせよう。」
「はんっ、そんなもんか?オレなら100匹はいけるぞ!」
「訂正しよう。俺は1000匹はいける。」
「だったら俺は、1001匹だ!」
「お前達!こういう時くらい張り合うな!もちろん、俺達も幸村の護衛には向かう。だが問題は、その後をどうするかだ。俺たちだけで、その厄魔の大群を迎え撃つのは、流石に無茶だからな。かといって手間取れば、周辺の村や町を危険に晒す事になる。ここは、どうすれば…。」
迅速に倒さなければならない、けれどその為に戦う人手が足りない…そういう事だろうか。全員が頭を悩ませていると、また1人大広間に人が入ってきた。
「ふぁ〜…佐助、才蔵、用事って何?僕、お昼寝してたんだけど。」
「おせーよ鎌ノ助!すぐに来いって言っただろ!」
「厄魔の大群が攻めて来ているというのに、相変わらずのんびりしているな。」
「……よくわかんないけどさぁ、僕、もう少し寝てたいんだよね…。だから、厄魔がこっちに来てから教えてよ。ふぁ〜〜…。」
「だーかーら!こっちに来るもなにも、厄魔はもう、真田の領地に迫っていて…」
「……それだ!」
「え?」
「ここは、鎌ノ助の言う通りだ。むしろ厄魔は、この城におびき寄せた方がいい。城ならば、守りは堅く、厄魔の攻撃にも耐えられる。その上、兵や物資も万全だ。奴らを迎え撃つのは…ここ、真田の城以外にない!佐助、才蔵、鎌ノ助。さっそく行くぞ!」
なるほど、籠城戦ってわけか。確かにその方が領民への被害は減りそうだ。ただ、どうやって厄魔を誘導するのだろうか。大人しくこの城まで来てくれるとは到底思えない。
「え?え?行くって、どこにですか?」
「幸村を呼びに行きつつ、あいつが戦ってる厄魔達をこの城へ誘導するんだ。」
「そうは言っても、あの大量の厄魔をいったいどうやってここまで…。」
「途中、厄魔がオレらよりも村や町の方に興味持ったらおしまいですよ!?」
「大丈夫だ。そこはもう、考えてある。まず堰を壊して川を氾濫させる。さらにこの一帯の木を切り倒した後、崖を崩して土砂を積み上げる。これで厄魔の進行方向をある程度は城へ向けられるはずだ。非常時とはいえ、かなり森を傷付けてしまう事になる。だが今は、これしか手段はない。」