第11章 籠城戦
嬉しそうに笑う佐助くん達と、早速城下へ降りようと歩き始めたが、城から少し離れ始めた所で2人の動きが止まり大きな耳がピクリと揺れる。私も合わせて立ち止まったが特に何も異変は感じられない。
「…どうしたの?」
「…聞こえたか、佐助。」
「あぁ、森の方からだ。」
再びは顔を合わせると、大きく頷いた。いや、だから何…!?何が起こってるの?2人には何が聞こえたの?
「森から厄魔の呻き声が聞こえた。距離はまだ有るが、確認せねばなるまい。」
「悪い、はすぐに城に戻ってくれ!オレ達は見てくる!」
「え!?わ…わかった…!2人とも、気をつけて!」
凄い、私には全然聞こえなかったのに。やっぱり犬…というか狼は耳がいいんだ…!
城とは逆方向へ走って行った2人を見送り私は城へと向かう。早く、信之達にも知らせないと!
城へ戻り廊下を走っていると曲がり角で誰かにぶつかってしまった。
「わっ…ご、ごめんなさい!」
「大丈夫だよ…って、?どうしたのそんなに慌てて。」
「幸村くん!佐助くん達と川へ行こうとしてたんだけど、城から少し離れた所で厄魔が森に居るって…走って行っちゃって…。」
「なんだって…!?どっちに向かったか分かる?」
「西の方!」
「わかった、俺もすぐに向かう!は兄ちゃんにもこの事を伝えてくれ!」
「わかった!」
走り去って行った幸村くんを見送り、私は信之の部屋へと走った。…が、彼は居ない。それなら書庫…?そう思ってまた走ったけれど、出会えない。どこにいるの…!
城中を走り回った所で信之には出会えず、最後に大広間へと寄ると中から声が聞こえてきた。
「まったくあの弟は…。と言いたいところだが、今の状況ではむしろ正解かもしれないな。」
「信之!!…あれ?」
スパァンッ!と勢い良く襖を開くとそこには佐助くんと才蔵くんが居た。…あれ、私出遅れた?討伐終わった感じ…?
状況が理解出来ずに居ると佐助くんが説明してくれた。どうやら森に居る厄魔はこちらに向かって来ているらしくその数は尋常では無いこと、もしかしたら民達に被害が出てしまう可能性がある事、今幸村くんが応戦しているということがわかった。
「信之様!オレたちも早く、援軍に行きましょう!」