第10章 雨
「鎌ノ助も団子食おうぜ!だから一旦起きろよ。」
「…、食べさせて。」
「えぇ!?寝ながら食べたら喉詰まりますよ!」
「大丈夫、多分。」
「だらしないぞ鎌ノ助!!いい加減彼女から離れろ!」
「あーあ…折角気持ちよかったのに。分かったよ…。」
そう言うと鎌ノ助さんはのんびりと身体を起こしまたフードを被った。そして大きな欠伸をポツリと零す。
佐助さんは沢山のお団子が乗った御盆を畳の上へ置き、才蔵さんは机にお茶を置いてくれる。
「美味い団子が手に入ったんだ。一緒に食おうぜ!」
「団子といえば茶だろう?この俺が淹れたのだから美味いに決まっている。鎌ノ助、お前の分もあるぞ。」
「ありがとう。」
「どっちも美味しそうですね!頂きます。」
この3人は本当に仲が良くてまるで兄弟みたいだ。ずっと一緒に過ごして来たのかな。佐助さんと才蔵さんはいつも言い合っているけどそれも微笑ましく思える。1本みたらしのお団子を取り口に運ぶと程よい甘さともっちもちの団子が良く合っていて美味しい。
「なぁなぁ、覚醒ってどんな感じなんだ?」
「え?私は覚醒しないから分からないけど…ぱぁって光って、いつもと全然違う姿になってましたよ。髪の色が違ったり鎧が変わったり。後凄く強くなるみたいです。」
「いいな…僕も飲んでみたい。」
「オレも!!1口だけダメ…?」
「緊急時なら全然いいんですけど…普段はちょっと恥ずかしいんですよね…。」
「安心してくれ。俺が痛くないように優しく噛んでやろう。」
「才蔵さん、噛まれる時点で痛いですからね?」
「だよなぁ…。」
ぷくっと頬を膨らむ佐助さん。やっぱり気になるものなのだろうか。そもそも私の噂ってどんな風に広がってるんだろう。
「あの、佐助さんと幸村さんはどんな話を聞いてたんですか?私の事。」
「ん?あぁ、最初は織田軍と豊臣軍の戦に女が居るって話だったんだよ。」
「後からその女の血を飲んで、豊臣秀吉の姿が変わったって話が広まって最初は姫神子なんじゃないかって噂になってたよね。」
「だが、豊臣軍に姫神子を探す動きがあった。は姫神子とは違う、特別な子なのだと真田軍では推測していたな。おそらく、今も君を姫神子だと誤解している軍もあるかもしれない。」