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夢現【戦刻ナイトブラッド】

第10章 雨


「鎌ノ助さん?」

「頭、撫でて。」

片手を掴まれポンと頭の上へ乗せられる。これは耳も触っていいって事なのかな。私は促されるままサラリとした青い髪を指先で梳く。柔らかくて気持ちいい。ついでに耳を軽く摘んで指先で撫でればピクリと耳が跳ねた。

「ふふ、耳可愛い。」

「人狼は皆生えてる。は僕たちの耳と尻尾好きだよね。」

「元々犬が好きだから。」

「……忘れてるのかもしれないけれど僕は狼だからね。油断してると噛んじゃうかも。」

上目にチラリと視線を向けてきた鎌ノ助さんの細く白い尖った牙が太腿へ充てられる。かかる吐息が擽ったい。けれど逃げる事は出来なかった。ちゃっかり足首掴まれてるし。

「鎌ノ助さん、こそばゆいです。」

「あんた無用心過ぎるから。僕も男だし、月牙族だよ。力で適わない事は、もっと自覚しておいた方がいいと思う。」

「…うん、ありがとう。」

それだけ言うと彼は牙を突き立てる事無くただ太腿へちゅ、と高いリップ音を立てて口付けた。
その刹那、再び襖の奥に人影が映る。

「ー!入ってもいいか?」

「佐助さん?大丈夫ですよ。」

「煩いのが来た。」

スパーン!と派手な音を立てて現れたのは、佐助さんだ。頭には器用に御盆が載せられているけれど何が乗っているかまでは分からない。後御盆に抑えられてペタンとイカ耳になってるのがちょっと可愛い。

「な……か、鎌ノ助!何してんだよ!?」

「何って…膝枕?」

「は足怪我してんだから駄目だろ!」

「傷がない方に寝て貰ってるから大丈夫ですよ!ありがとうございます。」


「う…ぐぬぬ…!!」

急いでフォローを入れたけれど佐助さんは少し納得のいかない様子で眉を寄せた。心配してくれたのは凄く嬉しい。本当にここの人達は優しい人ばかりだな。

「佐助!!お前というやつは、茶を忘れているぞ!」

「あ、やべー。団子に浮かれてた。ありがとな才蔵!」

声と共に顔を出したのは才蔵さんだった。その手には佐助さんと同じように御盆が有り、湯呑みからは湯気が立ち込めている。2人は部屋に入ると襖を締め私と鎌ノ助さんの近くへ座った。

「とりあえず鎌ノ助、俺と場所を変われ。彼女の膝はこの美しい俺が寝る方が絵になるだろう。」

「やだ、僕が1番最初にここに来たんだし。」
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