第19章 ホロウバスティオン 中編
リクの後を追いかけていた私
仕掛けを解いて奥へと逃げるリクに一つ一つと扉が閉まる、最初は私も滑り込むように仕掛けを潜り抜けていたものの体力と足の速さに負けて途中で仕掛けの扉が閉じてしまった
すぐに仕掛けを解きリクの後を追おうとするものの姿を見失い、道の分かれ道に私は足を止めた
『はぉ、はぁ…ど、どっちでしょうか』
【コッチデ心ノ気配ヲ感ジル】
私の影から小さなハートレスがにょきっと現れては右の道を指差す
ハートレスは負の感情を求める…この子もそれを感じているんだ
ハートレスを信じて着いてこいと駆けていく後ろ姿に後を追った
奥深くに着いたのだろう、先程の居た場所より不気味で何か禍々しく心揺さぶられる感情を感じ取った私
大きなパイプがあちこちと張り巡らされている空間にハート型に模した不気味な亜空間がそこにあった
この不安な感情の元凶はその亜空間から感じる…一体あれはなんだ?
『っ!カイリ!!』
地面に寝そべる一人の少女の姿…美しい緋色の髪色は私のよく知るカイリであり急いで駆けつける
しかし、
『っ!』
キィン、と私めがけて振り下ろされた剣を瞬時にキーブレードで防ぐ
視線先には先程と同じ禍々しい戦闘服を着たリクの姿だった
縦横と私に剣を振るリクに一定の距離を離れれば私とカイリの間にリクは阻むように立つ
笑みを浮かべたリクの手にはソウルイーターとは別の剣…それこそキーブレードを手にしていた
『リク、それって…』
【「そう、キーブレードだ」】
…でもキーブレードは確かにソラへと受けわたったはず
よくみるとソラがもっていたキーブレードとは違い私のキーブレードとは似て異なる赤黒い禍々しいキーブレードだった
【「久しぶりだな、闇の王」】
『?…何を、いっているんです、リク?
…先程会ったばかりじゃないですか
それに、リク…なんでそのことを…話して、ないのに…』
【「この時を待っていた…!
私は王の力を手に入れ、私こそが完全なる闇の王へとなるこの時をっ!!」】