第29章 ???? 前編
ギョロギョロと傷の中からハートレスの瞳が動き私を見つめた
カイリとにているビジョップは口角をあげて「ふふふ」と不気味な笑い声を部屋に木霊させた
「あともーちょっとでぇ王の力を奪えたのに…残念♪」
『ビジョップ…どういうことです?!説明してください!』
「説明?説明ならぜーんぶ話してあげたじゃない
私はね主…貴方の存在がとーっても邪魔だったの!
みんなに守られて、皆に愛されて、皆を騙す貴方がすごい嫌いだった!
私ね、貴方と仲良かった____の心が欲しかったの…でも貴方が奪った
ぜーんぶぜーんぶ!存在も、心も、体も!!」
部屋の本棚から無数の本と破れたページが吹き荒れた嵐により激しく舞い上がる
風が次第に強くなり視界を守るよう私は顔を両腕で覆った
『わ、わかりません…何が…どう…』
【信ジチャ駄目ダ!!アレハビジョップジャナイ!偽者!!】
「偽者?偽者はアンタでしょ!!ハートレス!!」
指パッチンしたビジョップがハートレスにむけて炎の柱で襲いかかる
素早く逃げるハートレスだが追尾する炎の柱、舞う視界先の紙や本に邪魔をされハートレスに攻撃が当たっては地面に身を打った
『ハートレス!!』
「ふはは!いつまでその姿でいるつもり?
____【本物のビジョップ】さん」
『…え』
ヨロヨロと立ち上がるハートレスに私は視線を向ける…ハートレスは首を横に振った
【私ハ、ビジョップジャナイ…】
「お得意の嘘、ご苦労様ね」
【オ前ハ、主ヲ惑ワセル…ビジョップノ幻】
「そう、私はビジョップの幻
…主の記憶の中のビジョップと主の心の中に残っていた微かなビジョップの闇の力が複合した存在!」
メリメリと傷が裂けていき裂け目から多くのハートレスが溢れるように出てきてはビジョップをつつんで大きくなっていく
天井の高いビジョップの部屋の天井に届くか届かないあたりで縦への動きが止まれば少しずつ引っ付いていたハートレスは消えていき…
巨大な猪の姿をしたハートレスが私を上から見下した