第19章 ホロウバスティオン 中編
長く暗い廊下を一人の少年が息を切らしながら走る
その顔は不安と疑問に絡まれて額だけではなく身体全身に嫌な汗をかきはじめた
「何故だ…俺のものだ、俺の…」
はぁはぁと揺らぐ視界先は夢を見ているようでリクはただただ走る
何故、なぜ、ナゼ…キーブレードが俺から消えたんだ
何故だ!!!
【真に強い心の持ち主がキーブレードを手に入れるのだ】
空間に響く低い声…いや、頭の中?
周りをみて背後を振り返るとそこには薄汚い布に腰の曲がった何者かがいた
「…心?俺の心があいつより弱いっていうのか?」
【あの瞬間では…だが、人は強くなれる
闇を怖れることなく扉の奥へ進んだお前には___
____勇気がある。
さらに深い闇へ突き進むほど…
______お前の心は強くなる】
男の存在を疑問に思うことも忘れリクはただ弱い自分を怖れて男の言葉を鵜呑みにした
「どうすればいいんだ…」
【闇に心を開くのだ、それだけでいい】
リクの虚ろな瞳が男へと向けた
【お前の心そのものが全てをのみこむ闇になるのだ】