第16章 ネバーランド 前編
「リク!お前なんでこんなやつらと一緒にいるんだ!」
甲板からリクは冷たい視線をソラに向ける
「俺はハートレスを操る力を手にいれた、もう恐れるものはなにもない」
『その力…マレフィセントから与えられたものですね?』
「これはもう俺の力だ!…マレフィセントは関係ない!」
「ハートレスは危険な力だ、心を呑み込まれるぞ!」
「それは心が弱いやつだけさ」
リク、そう呟くソラの小さな声はとても悲しみが含まれていた
それを知らずリクは「いろんなことができる」自慢気に力を披露する
「こんなこともなッ____」
リクの手が軽く横に振るとソラの目の前にソラの形をした黒いハートレスが湧き出てソラは目を見開く
「ふっ…大切な仲間に合わせてやるよ」
そうリクが言えばソラの真下の板が開きうわぁぁあと声をあげたソラは落ちていった
下に姿を消したソラの名前を呼び私がかけつけば瞬時に床板は元に戻って叩いても動く気配がなかった
『ッリク!』
「ノラ、お前はこっちだ」
「ソラとカイリを会わせるな」「見張れ」そうリクが私の腕を引いてフックのついた男に命令する
船内の一室に連れてこられ側にあったソファーに投げ込まれた
こんな扱い、元々のリクはそんなこと絶対にしない…こんなにも人は変わってしまうのか
リクはテーブルにあった飲み物の入っているグラスを手に取り口に含んでいた
『…リク、貴方変わりましたね』
「その言葉はソラにでもいってやれ、俺は変わってないさ」
喉の渇きを潤したリクは私を見てはため息をつき、私の座るソファーに同じく腰をかけた
『カイリは心がないの?』
「っ!何故それを!」
私はリクの日記のことを控えてマレフィセントと出会ったことを伝え、その会話でカイリの心がないことを知ったと嘘をついた
リクは膝に腕を置き項垂れた状態で真っ直ぐに床を見つめた
「マレフィセントに会ったのか?何もされてないか?…ノラの言う通りカイリはいま心がなくて眠っている状態だ
…カイリの心を取り戻さないと」
リクの表情はとても険しく拳を強く握った