第14章 ホロウバスティオン 前編
『マレフィセントは私が数年前に消えた闇の王、と言いたいのですか?』
マレフィセントは自信満々に「そうさ」と頷いた
しかしそこで私は矛盾を思い出す
『でも数年以前に生きていたのなら、もう大人なはず。私はまだ15才です』
「若返りなど闇の力を得る王には容易いこと。それに闇の王は長く眠りについていたが見た目は子供そのものだった」
『闇の力でそんなことも…では何故私は記憶がないのですか?』
「それは知らないね。どういう経緯で記憶を失ったのかわからないが…もしかしたら光の世界の誰かがお前の記憶を消したに違いない
闇の王は光の世界の侵攻に協力的だった…私はそう聞いてるね」
『…理屈的には確かにそうでないと成立しませんね』
マレフィセントの言葉に理解していく私、だけど…
『ですがいくら私が闇の王と言われても私の心は世界を闇に染めようと思いません
…残念ながら私は光を守ります』
椅子に座りながら真っ直ぐにマレフィセントを見つめた
マレフィセントは冷たい目で私を睨みつつもフッと杖を振り映像を見せた
そこに映るのはリクの姿…私は身をのりだし映像を見つめる
「私の可愛い子のように思っていてね…闇の力を与えているのさ」
『マレフィセントっ!』
「なに、力を望んだのは彼さ!私はただリクの願いを叶える為に助力しただけさ…
そして友と出会い、裏切られ、力を更に欲している…」
『彼を狂わせたのは私達ではありません!闇の力を与え続け、虚言を吐き、仲を裂くよう仕向けた貴方です!』
「ふははは!勝手な言いがかりを…
全てはリクが弱い己の心に闇の生み出したのさ!」
『…これ以上…
…私の友達を馬鹿にするなあぁっっ!!!』
キーブレードを構えたと同時に私の背後から母体の闇の化身が現れて私の身体が宙に浮く
心から溢れる強い怒りに力が溢れてくる…これが闇の力!
そんなもの、どうでもいい…いまは目の前の、マレフィセントを倒しリクを解放させる!!
マレフィセントも私の姿に心踊っているのか笑みを浮かべて私を逃がさないように緑色の炎をホール全体に囲った
「さぁ、王よ…目覚めよ!」