第14章 ホロウバスティオン 前編
『私は…闇の王でも、貴方のように世界を闇に染めようとは思いません!』
マレフィセントにキーブレードを振るうが目の前に緑色の炎が立ち塞がる
後ろに跳躍し体制を整え再びキーブレードを握る
私の姿勢にマレフィセントは真顔で私に問うた
「ではお前さんは闇の王ではなく一体何者だい?」
『そ、それは…私は私で…』
「ならばそこにいる弱いハートレスは一体何者?
お前の心に潜む強い闇は何故そこに宿る?
その禍々しい形をしたキーブレードの本当の意味は一体何か…
記憶がないのは…お前が特別な存在だから消えているのではないか?」
マレフィセントの言葉が一つ一つ胸に刺さる
今まで疑問だったこと、後回しにしていたこと、無視していたこと…まるで彼女は私のことを知っているようなそんな口調で私はマレフィセントに聞いた
『貴方は…私を知っているのですか?』
「…知りたいかい?」
再び不敵な笑みを浮かべるマレフィセントに私は首をゆっくり縦に振った
「まぁ、私もお前を全て知っているというわけではないよ。
…ただ、記憶は戻ってもらわないといけないのは確かさ」
マレフィセントと私の間にあった緑色の炎を消してゆっくりと手を伸ばされた
掴んではいけない筈なのに…何故だろう、この人に向ける疑いが消えて反対に心落ち着かせる何かを感じる
伸ばされた手を掴んだ私にマレフィセントは笑みを浮かべたまま誘導するようにホールへと連れていった
私を椅子に座らせマレフィセントは「さて」と話はじめる
「お前が闇の王ということは間違いない。現に私は闇の支配者…だが、以前私よりも巨大な闇の力を持ち全ての闇を支配していた者がいる
…それが闇の王」
『私が闇の王で間違いないという確証はあるのですか?』
「あぁある。お前はわかってはいないが心の奥底に強い闇の力を感じる…闇に囚われない程の強い闇の力
それが闇の王の力と同じ匂いがしてね
…だが数年前に闇の王はとあることをきっかけに姿を消した
呪いで眠った訳ではない…世界の調和は乱されたままだからね」
闇の王の呪いは以前、ゼムナスから聞いた
確か光と闇の調和が保たれると闇の王は眠ってしまうと