第14章 ホロウバスティオン 前編
目が覚めると目の前は薄暗いコンクリートの天井だった
マーリンの家の雰囲気とは違うことに気付き、そして眠る前の記憶を瞬時に思い出して辺りを見渡した
私の知らない一室…
警戒しながら眠っていたベッドから降りて近くにあった一人用のテーブルをみた
そこには一つの本があり何の本か興味本意で開けば誰かの日記であった
スラスラと読めばそこには私やソラ、カイリの名前が綴られていて文字や文章の視点からこれはリクが書いたものとわかるとそのまま読み続けた
私達を探していること、この場所はホロウバスティオンという場所のこと、闇の魔女マレフィセントに力を貰っていること…カイリのこと
そしてソラには怒り、私には嫉妬していることが書かれている…
『リクは…自分がキーブレードに選ばれてないことに傷ついている。きっと力を欲しているんですね…私達を守る力』
それと同時にソラがキーブレードを持ったことでドナルドとグーフィーという新たな友達と共に世界を旅していることに悲しみを覚えている…これは以前私が感じた感情と同じだ
それ故にカイリの捜索を止めてお供と遊んでいるとリクは勘違いをしているんだ…
『正さないと…このままだとみんなバラバラになってしまいます!』
拳を強く握りしめて日記を閉じた
リクはカイリを守ってくれている…でも日記には"カイリには心がなく眠っている状態"と書かれていた
救う方法は"七人の選ばれたプリンセス"を集めること、と書かれているが…何故なのだろう?
「お目覚めのようだね、闇の王」
はっと振り返ればマーリンの家で私を襲った黒い魔女…彼女こそリクの日記に書かれていたマレフィセントだ
しかし…なんだこの感情は…
『…何故私をここに連れてきたのですか?』
今は目の前の敵に集中を、キーブレードを構えてマレフィセントを注視した
マレフィセントは不敵に笑い長い指と爪を私に指す
「言っただろう?お前は闇の王、私はお前は味方…同じ志を持つもの同士さ」
『同じ、志?』
「そう!全てを闇に染め我々のものにするためさ!」