第10章 アグラバー 後編
「なっ!ハートレス!?」
「どうしてノラに!?」
グーフィーとドナルドが私の背後にいる闇の化身に武器を掲げるがソラは二人の行動に両手をあげて止めた
「待ってくれ!ドナルド、グーフィー!」
「ソラ!危険だよ!相手はハートレスだよ?!」
「だ、だけどっ!ノラが…!」
キェエアアアアアア!!!
女性特有の奇声をあげる母体の闇の化身から闇の風が吹き荒れ三人を攻撃する
「ソラ!!」
「っ、くそっ!やるしかないのか!!」
頭を抱えるノラにキーブレードを構えるソラ
その姿を見て私の中では【裏切り】の文字で頭を埋め尽くされていた
しかし頭の片隅には【約束】の一単語が私の理性を保つ力にかえてくれている
ドナルドの魔法やグーフィーの物理攻撃、キーブレードを振りかざすソラをまるでスローモーションでみているようだった
私が軽く腕を振れば私に同調するように闇の化身は大きく腕を振るい三人を意図も容易く吹き飛ばし壁へとぶつけた
グーフィーとドナルドが気絶をしている中、ソラはキーブレードを握りしめ苦しそうに私を…"睨み付けた"
その瞳が私の脳裏に焼き付けられた…
私は逃げるようにその場を去った
足の重さを砂のせいにしてアグラバーの町を移動している時だった
ジャファーの手下のハートレスだろう、私の姿をみて襲いかかろうと近づいてくるが私と視線があうとピシリと体を止めてその場から去っていく
そんなに今の私は襲う必要性もないひどい顔をしているかな?
心が傷ついた私の体は眠りにつきたい気分にさせて熱そうな砂場をベッドと無理やり思い込ませて身を投げ出した
それを防ぐように闇の化身が片手で私を支えた
『出てきてほしいときに出てこなくて、出てこなくていいときにでてくるんですね…役立たず』
私の言葉に微動だにせず闇の化身は私を抱えるように抱き上げその場に佇んだ
あとは好きにしろとでもいわんばかりに私は目をつぶり身を任せれば闇の化身は自身の地に闇の沼を出現させる
【主の仰せのままに】
そして世界から姿を消した