第9章 アグラバー 前編
誰もいないバザールに黒いマントの女とジャファーが共にあるいていた
「鍵穴は?」
「ハートレス共に探させておる…焦らずともじきにみつかるでだろう」
黒いマントの女の表情を伺いながらジャファーは続ける
「…しかしもう片方は…」
この国のプリンセスの行方をあの鍵の女にも手伝わせている…今はまだ見つからなくても時間の問題であろうな
しかしながら…この闇の魔女にあの娘の正体をバレてはいけない
あの娘はワシの計画の為、駒なのだからな…
するとバサバサと背後の空から赤いオウム、イアーゴがへとへとになりながらジャファーの肩へと止まった
「ジャファー!ちっとも見つからないぜ!どこいっちまったんだよジャスミンは!」
「ふん…相変わらず我儘な姫君だ」
ジャファーがため息を漏らすと前方にいる闇の魔女、マレフィセントはジャファーへ視線を向け「町の住人を全て捕らえたのでは?」と尋ねた
「何せ古い町でね…ネズミが隠れる穴も多いのだ
…しかしマレフィセント、何故ジャスミン姫を?」
ジャファーの求めるのは魔法のランプとジャスミン姫だとあの鍵の女に伝えたが、人探しに至っては目の前にいるマレフィセントの命令によったもの
鍵穴の必要性はマレフィセントに聞いたが、見つければもう我々の世界になるというのに何故彼女が必要なのだろうか?
疑問をぶつければマレフィセントは目を閉じた
「最後の扉を開くにはプリンセスが必要なのだ…7人のプリンセスが__」
マレフィセントのいう最後の扉とはきっと"キングダムハーツの扉"のことであろう…
最終的に世界を闇で覆うマレフィセントの計画…勿論計画に協力したあかつきにはこのアグラバーを私が手にするという手筈
「ワシとて協力を惜しまぬ…これお前達、はやく姫君をお連れしろ」
ジャファーの声に地から現れる闇からきたハートレス達
ジャファーの命令に従うようにハートレスたちはそれぞれアグラバーを探しに回った
イアーゴもハートレスの先陣きって飛び立つ
「闇に染まらぬよう気をおつけ…でないといずれハートレスに飲み込まれるよ」
去ろうとしたジャファーに警告するマレフィセント
高笑いをする
「このジャファーはそれほど愚か者ではない」