第8章 100エーカーの森 後編
『世界の再生…ですって?』
急にそんな壮大な計画を「はいわかりました」と簡単に頷く私ではなく、否定の意味でキーブレードをゼムナスに向けて構えた
私の姿勢にゼムナスは鼻で笑い再び宙を舞うと玉座に戻る
「やはり記憶が戻らなければ…本来の闇の王としての自覚を」
「どうすんだ?ゼムナス。闇の国はもう全滅しちまってんだろう?」
頬に傷のついた男が身を乗り出して不敵な笑みを浮かべながら促す
「…例のキーブレードのガキを消す、とか?」
「ラクシーヌ、それではキングダムハーツの完成に影響がでる!奴は泳がせておけ。
それよりも闇の力を得た少年に接触させる方が得策だ…非常に興味深い…」
「うっわ…でたヴィクセンキモいキモい」
「今回の彼女の目的は闇の王として復活させ我々の計画に協力してもらうことです
やはり一番は彼女に失った闇の力を与えることだと思いますけど…」
「だけどよぉゼクシオン。あいつにはもう既にあのバケモンついてんだぜ?
ってことは闇の力は利用できてるってことじゃねぇーか?」
「いいえアクセル、あの様子だと彼女の無意識下であの闇の化身を生み出しています。
完璧に闇の力を操っているとは到底思えません。
…しかし無意識下で相当な闇の力…興味深いですね」
「…落ち着けゼクシオン」
ノラの頭上で飛び交う意見や個人的な意志
このままだと利用される…
…私は…道具じゃないっ…
ただ、船の設計図を組み立てたんじゃない…!
なんで…なんでこんなに私ばかりが…
全てが雑音…
うるさい
うるさいうるさいうるさいっ
だまれだまれ
…黙れ!!!
急激に込み上げる怒りにキーブレードが震えて地をカチカチ鳴らしている
私の異変に気づいたゼムナスは直ぐ玉座から跳躍し私を止めようと剣を出したがもう遅い
闇の化身が私を覆う
そして私は闇に消えた
白い床に光線の剣で斬られた跡が残り、彼女がいた残像をゼムナスはただ見つめていた
「あーあ…逃げちゃった♪」
頬に傷があり右目に眼帯をする男シグバールが心にもなく肩を軽くあげおとした