第8章 100エーカーの森 後編
なんだ…これは…
動きが読める…身体が軽い…そして、元々慣らされているかのようにこの鍵の剣がしっくりしている
そして私を守るように背後に立つ母体の闇の化身…とても懐かしく
…とても悲しい気持ちにさせる
いや…それだけではない
『…ゼムナス』
先程ゼムナスと同じ13機関である青い髪の男が発言したNo.1の男の名前…
彼を見ていると何処か懐かしく感じる…
誰だ…一体誰と重ねているのだろう?
すると視線先のゼムナスが周りに制止の手をあげた
「かつて闇の世界に王がいた」
ふわりと高椅子から降り私の目の前で着地しながら昔語りを始めるゼムナス
キーブレードを向け警戒すると彼も掌から光線を出しその形は私のものとは違えども剣のようだった
「闇の王は古きより呪いがかけられていた。
光と闇の調和が保たれるといずれ再起する混沌の日まで眠り続けるという呪い…
その呪いは闇が光の世界への侵略を防ぐために光の王がかけた鍵の呪い。
何故闇が光に支配されねばならないのか」
ゼムナスはまるで私に訴えるように光線の剣を闇の化身の拳で火花を散らしていく
私と似たゼムナスの黄金の瞳が逸らせない…
「光は闇から生まれ…人は光から生まれた
だが何故闇が世界から離されなければならないのか!
闇の王にも光の世界と同じように家族がいたはずだ…
だが光で起こった被災を闇のせいだと掲げられ
闇で起こった被災の存在を消される…そうだろう?」
『…何がいいたいのです?』
ゼムナスは動きを止めて掌の剣を消しゆっくり両手を広げた
「王よ…我々13機関はキングダムハーツを完成させノーバディとしてのこの心無き身体から解放を望み新たな計画へと進む…
王…この世界を共に再生していこう」