第6章 100エーカーの森 前編
『っ!ど、どこにいくのですか!?』
ノラの手を引き無我夢中で走っていくハートレスにノラは焦りを感じていた
知らない世界、知らない空気、知り合いのいない場所が妙に心を騒がせる
…ソラやリク、カイリは無事なのだろうか?
三人一緒にいればいいのだけれど…
走りながら思考を別に飛ばしていた私の前でハートレスは足をとめた
何かあったのかハートレスの視線先をみれば黄色いクマや二足歩行でピンク色の小さな子豚が楽しそうに木を眺めていた
「蜂蜜だぁ、ピグレットお願い」
「…本当にうまくいくとおもう?」
蜂の巣をみて黄色いクマは笑顔を絶やさず、逆にピグレットと呼ばれた子豚は怯えていた
どうやら蜂の巣から蜂蜜をとろうとしているようで、どう蜂を退けつつ採れるか考えているみたいだ
ふとハートレスをみるがこの子はただその光景をじっとみていて動かなかった…
「そぉれ!」
シーソーでピグレットを飛ばし予想外に蜂の巣へと身体を埋めたピグレット
黄色いクマも「予想外だ」と呆然としていていま助けると近くにあった木の棒で蜂の巣を2、3回叩いた
「刺激しなければ蜂さんは大人しいから……ってえ!?プー!?」
無事蜂の巣を地に降ろしたのはいいのだが蜂達はどうやらお怒りでプーと呼ばれるクマと身体を蜂の巣に埋めた状態のピグレットを追いかけた
遠くに消える二匹と蜂
『…ハートレス?』
何故かハートレスは頭を垂れてとぼとぼと先ほどの二匹とは反対方向へと歩いていく
ノラはただハートレスの後を追った