第6章 100エーカーの森 前編
【待ってました…ずっと貴方が目覚めるのを】
【…どれくらいの時が経ったのですか?】
【はい____ですよ。もう私も____です…覚えてますよね?私のこと】
涙を流しながらにこりと誰かの手を掴んでいる黒い子供の____に触れた
触れて思った…
_______見た目よりすこしあたたかかったことを。
『……ん』
葉の間の日射が眩しくて目をゆっくりあけた
そこは一つの小さな森のようですぐ側には小屋があった
ぼーっとする視界に身体は動こうとはせずただ空を見つめていると視界の端に揺れる一つの影
『…っえ!?あ、貴方は!』
身体を起こし側にいる影をみればそこにいたのはデスティニーアイランドで出くわした小さな影
ノラの髪と同じ黒い姿にノラの瞳と同じ黄金の目をしていた【ハートレス】だった…
首をくりくりと動かす仕草は小動物のように、大きく鋭い爪は肉食動物のようで…得たいの知れない存在にノラは億した
『…貴方は一体何者です?』
【ミンナハボクヲ、ハートレスッテヨブ】
『喋れるのですね…それにハートレス』
闇の波に襲われる前を思い出す…このハートレスはノラを家族と呼んだ
家族?この子が?
記憶にない家族構成に疑問を抱きつつも、自分が過去の記憶を失っていることを思い出し少しハートレスの言葉に躊躇していた
【オボエテナイノ?】
『…わからない。私は小さい頃の記憶がないんです』
【アンナニアソンダノニ?】
『……わからない』
【…カナシイ】
見るからに悲しんでいるなと面をさげて触角または耳であろう頭のものが垂れ下がった
記憶がないのだから、という言い訳をいいたいのは山々なのだが…ハートレスの姿をみてどうも気を狂わせる
ついには申し訳なさを感じて『ごめんなさい』と謝ればまっすぐにこちらをみつめた
【アソボウ!アソボウ!】
大きな手でノラの手を掴みハートレスはノラをどこか連れていこうと必死に引っ張っていった