第29章 ???? 前編
どうして、と私が彼女を見つめるがビジョップは首を横に振った
「それは私の口からは言えないの…ごめんなさい」
頭をさげるビジョップに私はそう、と落胆した
「私から主に教えられることは2つ
一つは呪いの本当の真実と、もうひとつは王の使命のこと」
『呪いの真実と、使命?』
首を傾げる私にビジョップはカップをテーブルに置き、両手を膝において目を瞑った
「闇の王の呪いは光との誓いにより作られたもの…
光は闇を侵さず、闇は光を侵さないための調和の誓い
その誓いは誰でもない貴方が決めたことそう言った…だからこそずっと主を見守るしかなかった、眠り続けるその姿をずっと…
でもその誓いはいつ行われたのか記録がないの
だから私は過去に飛んで契約をする前の貴方を止めようと考えた…でもダメだった、何かに守られていたの…鍵のかかった真っ白な扉に」
『真っ白な扉?』
私の記憶の真っ白な扉はこの忘却の城の扉かキングダムハーツと呼ばれた大きな扉だった
そんなわけない、私は思考を否定した
「闇の王の使命は【光の世界を守る】ことだった…
…おかしいよね、なんで闇が対立する光を守らなきゃいけないなんて…
でも貴方は従った、いや従う予定だった…
光の世界に脅威を仇なす【闇の使い】を排除することを」
『闇の、使い?』
ビジョップは私の言葉に反応せずただじっと何かを我慢しては辛く息を吐く、そして私を力強く見つめた
「闇の使いは…
闇で生まれた強い心を持つ存在で結成された闇の王の為の家来…
そして、私やポーンは闇の使いのメンバーなの」
ビジョップの言葉で私は勢いよく席をたてばガタリと机が足に当たり揺れる
私は大きな黄金の瞳を揺らせた
『それって…
闇の王だった"私"は
闇の使いのビジョップやポーンを
_____消そうとしてたってこと…ですよ、ね?』
返事のしないビジョップを肯定として受け取った私は崩れるように椅子に座った
『…それって私は…
…信頼してくれる皆を【裏切ってる】じゃ、ないですかっ…』