第29章 ???? 前編
ポーンだけじゃなかった…記憶の中でポーンとの記憶を思いだした
前の世界でポーンが私の【裏切り】に対して怒りを溢れさせてハートレス化した
あの時からいまもポーンに対して申し訳ないという気持ちと信頼を裏切った悲しみを心に潜ませている
それが…終わりではなかったのか
『…でも私の中にあるポーンとの記憶では【消さないといけない】という感情があった
それは一体…』
「それは【希望】と【救い】
私達闇の使いは複数の小さな心が集まり生まれ、いつしか小さな心は大きくなり闇の力に耐えた強い心が私達を産み出す
私達が消えると心と体は新たな存在に生まれ変わる…そう、彼が生まれ変わりアンセムになったように…
…存在を消すのではなく、存在が生まれ変われる…それが貴方が使命を実行する後押しになったの」
ビジョップの真実に胸が苦しくなる私
「主…貴方が苦しんでいたのはわかっていたよ
ポーンや____、____は貴方を信じて本当の真実を知らずに憎んで消えたと思うけど…私は最初からわかってた
ずっと誰よりも貴方の側にいたもの
苦しかったよね、さびしかったよね…」
ビジョップは席を立って目の前で両手を広げた
「…もう、苦しまなくてもいいんだよ?
一緒にまた暮らそうよ
…主」
『ビジョップ…』
ビジョップの懐へ誘われるように私は両手を開いた
【ダメ!!ノラ!!】
突然小さなハートレスが私を突飛ばし鋭い爪をビジョップの顔へ振り下ろした
あの小さなハートレスは…確か、ポーンの部屋を案内してくれたやつだ
…あれ?でもなんだこの…懐かしく安心できる気持ちは…?
手で顔を覆いうつ向くビジョップに『大丈夫ですか!?』と駆け寄ろうとするとハートレスが私を阻む
【彼女ハ、本物ノビジョップジャナイ!!】
『…え?』
「…あーあ…邪魔されちゃったぁ」
ハートレスと私はビジョップに視線を向ける
ハートレスに引っ掻かれたビジョップの頬に傷ができている…その傷から複数のハートレスの黄金の瞳がこちらを見ていた