第28章 ??? 後編
扉をくぐった先は一番最初に訪れた白い空間と同じ廊下だった
どうして再びここに?と背後をみれば扉は勝手に強く閉まり私は先ほどの黒い城は幻だったのかと疑った
『ここは幻を見せる場所だというのですか』
彼と繋いだ手の感触や攻撃が当たったときの痛みは今でも私の身と心で感じている…
一体、さっき空間はなんだったのだろうか?
「全てはお前の中にある記憶で作られた偽りの世界というものだ」
闇の柱が現れ中から黒フードの男が現れる
フードをめくった男の見た目は中年でアッシュ色の長髪にリクの瞳より深緑の瞳をしていた
口角をあげた男は私を見定めるように足の下から頭の上まで視線を巡らせると「また会ったな小娘」と鼻で嗤う
『貴方は』
「私は機関No.4ヴィクセンだ。この城は気に入ってくれたかね?」
『この城…さっきの出来事は貴方がいった【記憶の中】の出来事ってことなのです?』
「そう、お前の記憶で作られた世界。
お前の中に閉ざされた記憶の出来事だ」
私は再び閉じた扉に視線をむけた
今まで失っていたデスティニーアイランド前の記憶に私は疑問におもい首をかしげる
『あれが…私の記憶?どうして今更…』
「この城は記憶を掘り起こす不思議な城でなぁ
何かを失う代わりに大切な思い出を呼び起こすのだ」
『何かを、失う?私はさっきの記憶を思い出す代わりに何かを失ったのですか!?』
ヴィクセンは私の問いにニヤリと笑うと「さぁな」と懐からカードを手にして私に投げる
私はカードを受け取り改めてカードをみれば先程と同じ黒い城が書かれていた
『同じカード』
「突き進むがよい、さすればお前の本来あるべき姿に変わるだろう」
『まて!!』
闇に消えたヴィクセンに駆け寄るも間に合わず先程渡されたカードを再び見つめた
『なにかを失うかわりに、手に入れる…』
私は一体何を失っているのだろう…