第27章 ??? 前編
結局あの少年の名前を聞けず、私は城の探索に回った
この城は闇の世界にあるからといって部屋がお化け屋敷みたいに荒れているわけではないし寧ろ別世界なんじゃないかと思うほどに綺麗に整っている
ただ花などの生命を感じるものはなく基本的に目にうつるのは石像や真っ黒に塗られた壁掛けの絵に長い階段
殺風景とも呼べるかもしれないこのお城はなんの面白みもなく感情というものが消えてしまいそう…そんな気がしてならない
『なんていう寂しい城…』
廊下を歩いていた突き当たりに大きな扉がある
扉のノブに触れた_____そのときだった
【アンタが闇の王?なんか弱そうだな】
【主、何か力になれることはないか?】
【此処にいってみようぜ、主】
【退屈してただろ?どこかに連れていってやるよ】
【主、俺は…アンタを________】
頭の痛みが収まり私はハッと前を向いた
開いた扉の奥には"彼の部屋"がある
何故彼の部屋かわかったのか、それは自分にもわからない…でも
『私は彼を知っている…彼は、彼は……』
私の記憶の中を探る
彼は一体なんという名前?
思い出してきた記憶の断片が彼を【大切な人】だと私に訴えかける
『彼は私の…知り合い?
…っ違う…そんな感じじゃない!
もっと濃くて…悲しくて…苦しくて…
_____そう、彼に"伝えないといけないこと"があったはず…』
何を伝えようとしたのかもまだ思い出せずにいる…
その答えは絶対に見つけなければならない、私はじわりと思い出す記憶の中で彼の名前をみつけた
『彼の名は…そう、【ポーン】!』