第4章 何か。
「あっ!おかえり~……って、えぇ!?」
歌詞太郎さんと家に帰る途中、我慢ができなくて泣き出してしまった。
歌詞太郎さんは一度も私のほうを振り返ることはなかったけど、手を握る強さは痛いくらいだった。
家に着くころには涙は止まっていたけれど、泣きはらした顔で家に入ったので迎え入れたお兄ちゃんたちはビックリしてた。
「ご、ごめんね優香ちゃん。そんなに追い出されるの嫌だった??い、嫌だったよねぇ?せっかくの休日なのにねぇ?」
お兄ちゃんがオロオロしながらわけわからない文章を喋る。
「ごめんね優香ちゃん……。訳があったんだ」
そらるさんが慌てたようにお兄ちゃんの後ろから顔を出す。
「あのねあのね。これを準備してたんだ」
天月さんも続けて顔を出し、みんなに誘導されてリビングに行くと、そこには【誕生日おめでとう】の垂れ幕。
カラフルな風船も壁や床の上にちりばめられ、テーブルの上にはオードブルが。
「え……」
「「「「誕生日おめでとう。優香ちゃん」」」」
誕生日??
「わ、忘れてたの……??」
お兄ちゃんが私の顔をのぞき込んで聞く。
「い……1週間前くらいまでは覚えてた……はず」
何それ~とヘラヘラ笑うお兄ちゃん。
嬉しくて、でも私の疑問は消えてなくて悲しくて。
また泣き出してしまった。
「みんなぁ……私何かしたのかなぁ……?」
小さい子供のように、抱いたクマに顔をうずめわんわん泣く私にみんなは驚き、歌詞太郎さんは私の代わりに説明をしてくれた。
歌詞太郎さんの説明を受けてみんなは何かを話し合っていたけど、しばらくするとみんなが私に向き合うように座り、私もまたみんなの前に座った。
「あのね。優香ちゃん」
お兄ちゃんが最初に口を開いた。
「小学校から中学にかけての頃かな……優香ちゃん、学校の子たちから何かされてたんじゃないかな?」
「……!!」
その言葉で私はすべてを察した。
私はさっきも言った通り、みんなとはずっと一緒だった。
遊びに行くのはもちろん、学校もみんなと一緒のところまではいつも一緒。
みんなはかっこいいから、みんなのことが好きな子はたくさんいて。その子たちから見たら私は邪魔なわけで。