第4章 何か。
「ところでそらるさんは何しに来られたんですか?」
わざわざ叱るためだけに家に来るわけではないだろう。
配信か、打ち合わせか。はたまたただ遊びに来たのか。
「あぁ。今日は遊ぼうと思って。……みんなで」
「みんな?」
『みんな』という表現にひっかかり聞き返すと、またチャイムが鳴った。
「?……はぁーい」
玄関の扉を開ける。
そこには見慣れた人たちが。
「来たかー。天月。歌詞太郎」
「お邪魔しまーす!」
そらるさんがまるで自分の家のように二人をリビングへと誘導する。
この光景も、いつものことだ。
「あ!」
天月くん!歌詞さん!と、にこにこしながら迎えるお兄ちゃん。
え。ちょっと待って。
「……お兄ちゃん。来るって知ってたの?」
「うん!!………言ってなかったっけ?」
言われてないよ…。
というかこんなに来るならもっとちゃんとした服着てたのに。
「へへ。大丈夫だよ。そのままでもかわいいよ~」
ヘラヘラと心を読んでくる。
…ちっ。
「コホン。優香ちゃん。悪いけど今からお兄ちゃんたち遊ぶから、どこか外に行っててくれないかな?」
「え……?」
いつもなら遊びに入れてくれるか、部屋に行くからって言って外に出てろなんて言わないのに……。
「なんで…?うるさくしないし、邪魔しないよ……?」
涙がこみ上げそうになるのを必死で我慢する。
「と、とにかく、今日はちょっとまずいというか……」