第2章 中編
光の入らない薄暗い部屋の中で、昼と夜の区別など分からなかった。
抱き潰された身体は疲弊しているはずだが、ユーリの意思に反してその身体は熱を灯したままだった。
時折注がれるジェル状の液体の影響か、無理やり神経を昂らされる。
シーツが肌を擦る感覚にさえ、ぞくりと粟立つ。
あれから何日経ったのかも分からない。
何時の間にか嵌められた枷に自由を奪われ、この部屋に閉じ込められた。
「…っ…っ…」
ユーリは言葉にならない声を上げて、シーツの上を這いずるように逃げ動く。
胎内だけでなく、五感も鈍りつつある彼女の視界はぼやけて何も見えない。
辛うじて鼻を掠める甘い香りに、何か香のようなものでの焚かれているのだろうか。
それはユーリの抵抗を完全に奪うためか、何なのか。
さっさと殺せばいいものを、未だに彼女は生かされている。
受け入れてと言われて、言われるがまま受け入れたはずだが、彼はまだ満足しないのか。
そもそも彼が何を望んでいるのか、何も分からない。
ユーリはぼやける視界の端に映った扉へ、助けを求めるように手を伸ばす。
だがそれも、背後から伸びてきた手に捕まれ、そのままシーツの海に落とされる。
「…どこに行くの?」
先ほどまで感じなかった気配に、背筋が凍りつく。
ゆっくりと覆いかぶさる彼にユーリは先ほどまでの光景がフラッシュバックし思わず逃げ動いた。
「よかった、まだ元気みたいだね」
否定しようにもまともに言葉を発することができない。
そんな彼女に気づいているのか、アーデンは歪んだ笑みを浮かべる。
「じゃぁ、付き合って貰おうか」
抵抗などものともせずに、熱い雄が秘部をかき分けて中に捻じ込まれる。
その瞬間、ゴプリと音を立てて黒い体液が彼女の足を伝い落ちた。
「っふ…あっ…」
また、始まるのか。
枯れた声が響き渡る中で絶望の表情を浮かべたユーリだが、彼が止まるはずもなかった。
すっかり形を覚えてしまったそこは、難なく受け入れる。
どれだけ激しく蹂躙されようが、ユーリは身体をそれを快楽として拾ってしまうほど、彼に作り替えられてしまった。
こんなことをして一体何が楽しいのか。
理解のできない彼の不可解な行動に、ユーリはただただ頭を悩ませた。