第2章 中編
「反対するかと思いましたが、意外ですね」
アーデンがその場から消えると、ゲンティアナはアルテマへと視線を向ける。
てっきり邪魔をしてくるかと思っていたが、意外にも彼は何もしてこなかった。
ただ黙って二人のやり取りを見ていた彼は、彼なりに思うことがあるのだろう。
「……先代の王が、アーデンを呼んでいた」
二人の間で暫く沈黙が続いていたが、徐にアルテマが口を開いた。
「先代とはソムヌスのことでしょうか」
「…いや、レギスだ」
その言葉に、僅かに驚いた表情を見せた彼女。
確かレギスはアーデンに殺された王だ。
一体何が目的で呼んでいるのか、それは二人にも予想がつかなかった。
「どうやら私もあなたも、あの二人の力を信じたいのでしょうね」
黒い光を放つクリスタル。その中に眠るように囚われているユーリと、それに寄り添うように眠っているアーデン。
星の運命に翻弄され続けた二人がこの星の仕組みを壊し、新たな人生を共に歩めることを、ゲンティアナは願っていた。
全ては神々が勝手に始めたことで何とも身勝手な思いかもしれないが、もう2度と、同じ歴史を繰り返して欲しくなかった。