第2章 中編
まさかあのアーテンより年を取っていたとは。
ちょっとというか、かなりショックだ。
ショックを受ける内容が違うかもしれないが、最早混乱を極めている頭では何も考えられなかった。
「……はぁ、色々と突拍子のない話ですが、この際なんでもいいです。取り合えず、このクリスタルの存在が厄介なら何とかしてください」
ユーリは壁に背を預けると天井を仰いだ。
なんかもう、色々ごちゃごちゃしてきて面倒になって来た。
だからさっさと終わらせられるなら終わりたかった。
私も使命が終われば、アーデンのように本当の眠りにつけるのだろうか。
まさか眠りと目覚めを繰り返していたとは思わなかった。
恐らく記憶の操作はこの神がやっているのだろう。
私の記憶が途中からしかないと思ったら、こういうことだったのか。
ユーリは深いため息を吐くと、どこか遠い目をしながら物思いに耽っていた。
その後、神は消え去りユーリ1人となった。
結局何も解決しないままだ。何だか放り出された感が否めないが、クリスタル対策が直ぐに思いつかないなら仕方ない。
ユーリは鎖に繋がれた己の両手を見た。
アーデンもまた鎖に繋がれ幽閉されていた。
神の島と呼ばれるあの場所に幽閉したのは、せめてもの償いの為か。
そもそも、アーデンは本当に真の王に選ばれていたのか?
ユーリはアルテマから教えられた情報を頭の中で整理していった。
アーデンがイフリートを闇に取り込んだ時に、イフリートの記憶から真の王がアーデンだと知った。
だけど、それなら何故クリスタルは彼を拒んだ?
そして何故、闇を取り込む力を与えた?
全ては、神々が作った雑な物語にしか見えなかった。
疑問と矛盾だらけのこの物語。
果たして真相はどれなのか。
「……もしかして真の王は、ある意味アーデンなのか?」
王というよりは神に近い。
永遠の命と、この世の知識を無限に得られる力は、神と同等と思ってもいいかもしれない。
「……アーデンのような存在は、神々にとって恐れの対象かもしれないですね」
神々が持つ知恵を超えた時、彼は神を超える存在になるのだろう。
果たして神の目的は、真の黒幕は誰なのか。
ユーリはため息をつくと、答えの見えない問題を、ただひたすら考えていた。