第2章 中編
神の話を要約すると、ユーリが世界の闇を全て払い、再生して欲しいとのことだった。
二度と、悲しい犠牲者がでないように。
「サラッと言ってますけど、神が出来なかったことが、私にできるとでも?」
ーーーしかし、クリスタルの存在が厄介だ。このままではお主に与えた力が発揮できない可能性がある
「あれ、無視ですか?」
ーーーその前に、あの男に殺さる可能性が高いな。早急に対策を考えるとしよう
「……いっその事、私が王になってアーデンを討ったら……いやそんな怖い発想は止めておこう。絶対返り討ちにあう」
ーーールシス王家の血を引くもの以外が王になっても意味がない。そもそもお主はクリスタルに選ばれたわけではない
「そこは反応するんですね。冗談ですよ」
アーデンを殺すことなど、例え彼が望んでいたとしてもできない。
何千年に渡って苦しんできた彼の最後が、本当にこれでいいのか私には分からなかった。
「どうせ救うなら、アーデンを救ってあげますよ。星はそのついでです」
アーデンにとっての救いが何なのかは分からないが、このままでは駄目な気がした。
与えられた力とは、恐らくあの歌なのだろう。
滅亡も希望も与えられるその力は、もともとアルテマが持っていた力のようだ。
ーーーお主は、古代戦争で我々に仕えていた二十四使の最後の生き残りだ。何としてでも、この世界を変えてもらう必要がある
「え?よく分からないのですが」
古代戦争って遥か昔の出来事だ。その生き残りということは、先祖代々ってことか?
ーーー私が眠りにつくとき、仕えていた二十四使に全ての力を渡した。彼らの時は止まり長い間生き続けていたが、その存在に気が付いた神々に殺され、私が目覚めた時には、お主1人しか残っていなかった
「…う、うん?」
ーーーその後はお主を守りながら機会を伺っていた。しかし2000年前、神々の邪魔が入り計画が実行されてしまった
まだ幼いユーリがアーデンに力を与えた行動がそうなのだろう。
神と対話できる彼女は、アルテマ以外の声も当然ながら聞こえる。
「…まさかとは思いますが、私は古代戦争の時から生きているんですか?」
ーーーそうだ。何度も眠りと目覚めを繰り返して、今のお主が存在している
神から教えられた事実に、ユーリは頭を抱え込んでいた。