第2章 中編
遠のいていく意識の中で最後に見た光景。
侵入者に気づいた兵士達がユーリを囲む。
それでもユーリは歌うことを止めなかった。
そして、痺れを切らした兵士達が彼女を斬りつけていく。
ーーーやめろ
幾つもの刃が彼女を貫こうとも、彼女は立ち続けた。
アーデンから目線を逸らすことなく、そっと微笑んだユーリ。
ーーーやめてくれ
ユーリの手には、アーデンが渡した指輪があった。
そのぶかぶかの指輪に愛しそうに口づけを落とす。
ーーーお願いだ、誰でもいい…彼女を
指輪に口づけを行いながら、彼女は静かに血だまりの中に倒れ込んだ。
ーーー彼女を、助けてくれ…
アーデンの悲痛な叫び声が、闇の中で木霊していった。