• テキストサイズ

闇夜の雫【FF15】

第2章 中編



バハムートの剣先が私の身体を斬り裂こうとした時、辺りが炎に囲まれた。




ーーーまた、邪魔をする気か

唖然としている彼女の目の前に現れたのは炎神イフリート。

目線だけ彼女に向け、先に行けと促しているようだった。

「…っ」

彼女はその場を駆け出した。

背後で何やら爆音が聞こえてくるが、気にしている時間はない。

彼女はアーデンの行方を捜すため必死に走り続けた。



















「さて、時間があまりないので手短にすませましょう」

彼女はアーデンの身体にそっと触れると、その顔を覗き込んだ。

「……なに、してるの」

鎖に繋がれたアーデンは身動きができない。

地の這うような声は、明らかな怒りの感情が含まれていた。

「何って、言ったじゃないですか。どうしても助けが必要な時は助けると」

しかし彼女はアーデンの怒りに気づいているのかいないのか、全く気にしていなかった。

「助ける?今、どれだけ危険なことをしてるのか分かってるのか!?」

アーデンの悲痛な叫び声が響き渡った。

まさか彼女がここに来るとは思っていなかった。

例えこの場所が分かっていたとしても、来て欲しくなかった。

アーデンは最早化け物扱いだ。そんな彼に関わったと知れ渡れば、彼女の命が危ない。

彼女はアーデンと違って不死身ではないのだ。

彼女だけは幸せに生きて欲しかった、そう思っていたのに。

しかし彼女はアーデンの叫び声を、見つかるから静かにしてくださいと一蹴した。

「あの時、あなたに力を渡したのは私の責任です。だからせめて、償いをさせてください」

「何言ってるの?君のせいじゃないでしょ?」

「いいえ私の責任です。償いといっても、あなたを完全に救えるかどうかは分かりませんが」

アーデンは死ねない魔物になってしまった。

そんな彼を人間に戻せるのだろうか。


彼女は静かに息を吐くと、遥か昔の記憶を辿った。






/ 105ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp