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闇夜の雫【FF15】

第2章 中編



この島に幽閉されてどれくらい経ったのだろうか。

時間の感覚も分からず、人ではなくなった彼は死ぬことができない。

その事実が、一体どれほどの絶望を彼に与えているのか。

空腹も、睡魔もなく、ただこの場に囚われ続ける。

常人なら発狂しているところだろう。

アーデンは朦朧とする意識の中で、闇の先へと視線を送る。

脳裏に浮かんだのは、淡い金髪の彼女の姿だった。

今頃あいつは、幸せに過ごせているだろうか。

ユーリはきっと気づいてないが、彼女と過ごした時間で、アーデンはだいぶ救われていた。

出来ることならば、最後の時間をもう少しゆっくり過ごしたかった。





「…ユーリ」


枯れた声から紡がれた言葉が、辺りに響き渡る。




















「はい、呼びましたか?」


暗いはずのこの場所に、一筋の光が差し込んだ。

開かれた扉の先に立つ、思い馳せていた人物。

アーデンは光の眩しさから目を細めたが、直ぐに驚いたように目を見開く。


どうしてここに。

言葉に出さなくても、彼の表情がそう言っていた。

ゆっくりとアーデンに近づく彼女は何時もと変わらない様子だったが、不意に血の匂いがした。

目が慣れてくると、傷だらけの彼女の身体が浮かび上がる。

「まったく、どこに幽閉されたかと思えば、こんな場所まで左遷されるとは」


ここに来るまで相当苦労しましたよ。

迷惑そうな表情でそう伝えてくる彼女だが、その瞳には色々な感情が混ざり合っていた。

怒り、悲しみ、後悔、そして決意。

一体なぜ彼女がここにきたのか。

その理由を、彼が知るはずもなかった。



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