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闇夜の雫【FF15】

第2章 中編



「迷うくらいなら、行かなければいいじゃないですか。あなたの人生なのですから、自由に生きてください。例え王子という立場に縛られていたとしても、その権利はあると思います」

まぁ、今まで十分自由に生きていたと思いますが。

相変わらず最後に余計な言葉をつける彼女に、アーデンは苦笑をする。

何故最後にこの場所に来たのか。

彼女の言葉に、そうだねと呟き来た道を戻っていく。















「ユーリ」







ユーリはアーデンが立ち去ってもその場から動かなかったが、不意に呼ばれて彼の方へ身体を向ける。

なぜ私の名前を知っている?

そう疑問に思ったが、キラキラと光る何かが飛んできた。






「ありがとう」



飛んできたものを手に掴むと、そこには大きめの指輪があった。



「それを売れば、暫く生活には困らないと思うよ」

アーデンはそれだけ言うと、手のひらを振りながらその場を立ち去った。












「……これは、彼が身につけていたものでしょうか」


ユーリは手元にある指輪を握り締めた。

このまま彼を止めなければ、きっと取り返しのつかないことになる。

だけど、彼を止められる理由が、ユーリにはない。

静かに去っていくその後ろ姿を、ただ見ていることしか出来なかった。





















「……最後まで、付き合いますよ」

アーデンの姿が見えなくなると、ユーリはそっと息を吐きその後を追う。

ここ最近、1つだけ思い出した記憶があった。

あれは私がまだ小さい頃の出来事だ。

あの頃は不思議な力を使うことができ、目に見えない何者かの声を聞くことができた。

そんなユーリの存在を、村の人々は大切にしてくれた。

今となっては皆、病や野党に襲われて死んでしまったが。





ーーーあの日、彼を…アーデンを救うように言われた意味が分かった気がします。

本当にこの世の中はどうかしている。

神だのなんだの崇拝するのは自由だが、この星の神はそんないいものではない。








光と闇の戦い。強いてはこの世界の陰と陽のバランスを保つための犠牲として、アーデンは選ばれたのだ。





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