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闇夜の雫【FF15】

第2章 中編




そして時が流れる。


「クリスタルはアーデン様をお選びになりました」

体調の悪化が激しくなり始めた頃、その言葉は伝えられた。

「どうぞ、ルシスにお戻りください」

突然現れた従者と伝えられた言葉に、アーデンが感じるものは何もなかった。

元々国王になりたかったわけではない。

強いて言えば、民が望むなら仕方ないと思ってたくらいだ。


「……ちょっと、時間くれるかな?夜までには戻るから」


アーデンはそれだけいうとその場を立ち去った。

従者が一瞬迷う素振りを見せたが、彼を止めることはしなかった。
























アーデンが向かった先は、彼女がいる滝だった。

毎日そこにいるわけではないようたが、今日は運よくそこにいてくれた。






「…行かない方がいいですよ」

滝を眺めている彼女の後姿に近づくと、彼女は振り返ることなくそう口にした。

「…何でそう思う?」

アーデンは彼女の隣に立つと、同じように目の前の光景に目を向ける。

何処へ、そう聞かなくても彼女が言わんとすることを察した。

何故彼女が国王の選定を知っているか疑問に思うが、最早どうでもよかった。

「あなたも薄々感じていると思っていたのですが、なるほど、中々能天気な頭をしているようですね」

「…ほんと、最後まで辛辣なのは変わらないね」

アーデンが口にした最後という言葉。それに彼女が反応したのが分かった。

「例え罠だとしても、オレは行かないといけないんだよ」

「死にたがりですか?」

「……いや…」

彼女の問いかけにアーデンは珍しく言葉を濁した。

ルシスに行く理由は、民の期待に応えるためか、この穢れた身体を救って欲しいのか、それとも彼女が言ったように死に場所を探しているのか。

考えたところで、答えは出ないだろう。

ここ最近エイラの姿を見ていないので、恐らく罠の可能性が高い。

本当にクリスタルに選定されたのならば、彼女は自ら伝えにくる可能性が高いからだ。










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